阪神が平成最後の試合を白星で締めくくった。甲子園での広島戦は打線が機能して8得点。ドラフト1位の近本光司外野手(24)は11試合連続安打となる適時三塁打など5打席すべて出塁。同3位の木浪聖也内野手(24)とともにマルチ安打の暴れっぷり。矢野阪神を象徴する「キナチカ」で今季2度目の3連勝。勢いに乗って令和に突入する!

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平成最後の日に期待のルーキーたちが輝きを放った。2点リードの4回。2死二塁の場面だ。1番近本が広島アドゥワの初球スライダーを「待ってました」とばかりにフルスイングした。しっかりとつかまえた打球は、グングンと伸びて右翼鈴木の頭上を越えた。

「(木浪)聖也がいい形で打ってくれたので、自分もいいイメージを持って打つことができた。追加点の欲しい場面で打つことができて良かったです」。中越え二塁打を放った木浪に続けとばかりに会心の適時三塁打。ルーキー2人で貴重な3点目をもぎ取った。

近本は両手を突き上げてお決まりとなったガッツポーズで大声援に応える。この一打で並んでいた98年坪井、16年高山を抜き去った。01年赤星が記録した阪神新人の最多連続安打に、あと1と迫る11試合連続のヒットだ。

新時代の幕開けを予感させる新リードオフマンの活躍だ。近本は、8回にも右前打を放ちマルチ安打をマーク。それ以外の打席では3つの四球を選ぶなど、1番打者の役割を果たした。

リーグトップの3三塁打に、4番大山に並ぶチームトップの15打点。自慢の足に加えて、勝負強さと長打力も併せ持つ。開幕から甲子園の全10試合でヒットを放つなど、本拠地での相性の良さも大きな魅力だ。「地味」とも言われた昨秋の阪神ドラフト。実力でそんな評価を吹き飛ばした。

今や矢野阪神の象徴となりつつある近本について、矢野監督は「簡単に終わらないというのも近本の持ち味。本当にチームの1つのピースとしては大きい働きをしてくれている」と信頼を寄せる。令和元年のシーズンに虎の一員となったことも運命か。近本は「令和も頑張ります!」と笑顔で誓った。これで3連勝で単独4位に浮上。新時代を迎えるタイガースには令和のスター候補がいる。【桝井聡】