日本ハム金子弌大投手(35)が鬼門を突破できなかった。先発した西武5回戦(メットライフドーム)は4回2/3を7安打4失点でKOされ、今季2敗目を喫した。

同球場ではオリックス時代の08年3月20日に白星を挙げた後、不思議と勝利に見放されている。新天地&新時代でもジンクスを破れず、チームはまたまた貯金がなくなった。

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金子は、先発として最低限の責務を果たす直前に、大きく乱れた。「5回は2死から少し力んで、力まかせになってしまいました」。丁寧に先頭から2者連続で内野ゴロで仕留めた後に落とし穴があった。悔いた場面で、打席には秋山がいた。カウント2-1からの4球目。外角を狙った直球が、内角への逆球になった。右中間へ痛恨の勝ち越し3号ソロを浴びた。

心の乱れは、制球にも影響した。「そこで(西武の攻撃を)切りたかった」という山川には1球もストライクが入らず、四球を与えた。「結果的に、気持ちの切り替えができていなかった」。森には1ボールからの2球目が、再び逆球となって内角へ投げ込み、中越えに4号2ランを献上。先発投手の責任投球回の5回を投げきれず、マウンドを降りることになった。

チームが変わっても、時代が平成から令和に変わっても、メットライフドームでの不思議なジンクスは継続してしまった。同球場では08年シーズン開幕戦の3月20日に白星を手にした後、11年間、好投しても勝利投手になれない鬼門となっている。通算121勝右腕が同球場では通算2勝にとどまる。

この日は毎回走者を背負いながら、4回までは最少失点で食い止めた。栗山監督も「ボールは悪くない」と振り返ったように、粘りの投球はできていた。ただ、わずかにメカニズムが狂えば、西武打線はとらえてくる怖さがあることは事実だ。金子は「どんな状態でも、ゼロで抑えられるように、どうすればいいか考えていきたい」と課題を挙げた。さまざまな修羅場をくぐってきた金子なら、きっと謎を解いて答えをみつけてくれるはずだ。【木下大輔】