1088日ぶりにアーチをかけた。日本ハム谷口雄也外野手(26)が12日の西武9回戦(札幌ドーム)7回1死一塁で、16年5月19日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来3年ぶりとなる今季1号2ランを放った。

17年に右膝前十字靱帯(じんたい)を損傷し、手術、リハビリを乗り越えての完全復活。連勝は2でストップも、離脱者続出のチームに貴重な戦力が帰ってきた。

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高々と舞い上がった打球を、祈るような思いで見つめた。5点を追う7回1死一塁。谷口は心の中でつぶやいた。「切れなければいいな」。愛工大名電の先輩、西武先発十亀が投じた内角の変化球を、すくい上げるように強振した。右翼ポール方向に向かった打球は、右翼席の中段まで届いた。3年ぶりのアーチに「気持ちよかったですね。自分自身に1本出たのはよかった」。本拠地札幌ドームでは15年9月19日以来、実に1331日ぶりの1発となった。

2年前の春季キャンプで右膝前十字靱帯(じんたい)を損傷し、長期離脱を強いられた。昨季は終盤に昇格し、6試合に出場もヒットは打てず。背番号が「64」から「4」となった今季は、心機一転、勝負の年だった。

開幕は1軍スタート。4月1日に登録を抹消されたが、そこから奮起した。2軍戦は5月に入ってから猛アピールし、7日ロッテ戦では1本塁打を含む3安打1打点。「少ない打席の中でしっかり準備ができた」と、10日の再昇格へとつなげた。栗山監督は「本当に状態がいいと思う。(1軍に)上がってきて、しっかり結果を残してくれた」と評した。

最高の「母の日」にできた。野球をできない間、支えてくれたのが、母里美さんだった。「手術した当日も(三重の実家から)札幌まで来てもらったりしてくれて、ありがたかった」。毎年のように花束を贈ってきたが、今年は少し違う。前日11日にマルチ安打を放ち、試合前は「昨日ので十分」と照れ笑いを浮かべていたが、当日に粋な追加。「小さい頃から体が大きいねと言われ続けた。丈夫な体で生んでくれて感謝している。親にはなにもしてあげられないので。こうやって活躍することが良い報告だと思う」。これまで贈ったどんな花束より母が喜ぶ、安打の束を2日かけて届けた。【山崎純一】

◆谷口の復帰への歩み 17年の春季キャンプで右膝前十字靱帯(じんたい)を損傷し、3月に手術。同年は1、2軍戦ともに出場なし。18年は2軍戦67試合で3本塁打、打率2割9分8厘の成績を残し、終盤に1軍昇格。9月29日楽天戦8回の代打出場(二ゴロ)が復帰戦となった。今季2軍戦は14試合で2本塁打、19打点、打率3割1分6厘。