東北地区最後の全国切符争奪戦は、七十七銀行(仙台市)が7-3で日本製紙石巻(石巻市)を振り切り、2年連続13度目の本大会出場を決めた。

社会人5年目の先発右腕・鈴木貴也(26=法大)が9奪三振で完投。完封目前の9回2死一、二塁から3ランを浴びたが、8回まで散発3安打に抑える好投で、1次予選(県大会)から2連敗中だった相手に雪辱した。

序盤からイケイケ・ムードの中、ただ1人冷静な投球を続けていた鈴木貴だったが、最後は感情をあらわにした。最終打者を空振り三振に仕留めてガッツポーズ。石井信次郎捕手(24=東海大)と抱き合って喜んだ。終了直前、相手5番に本塁打を打たれ「完封したかった。(前打者の)4番を三振にして気が緩んだ。自分の甘さ」と喜びの中でも、気を引き締めた。

悔しさを力に変えた。昨夏の東京ドーム初戦の三菱重工神戸・高砂戦は初回5失点で途中降板。「野球人生最大の屈辱」と自身の野球ノートに書き、試合前の準備を入念に行うなど、「初回の入り方」に注意してきた。2年前の最速147キロには及ばないが、チームでは投手陣2番目の年長になり、熟練の域に達した。

創部40年目。都市対抗野球は03年(平15)初出場。翌04年に4強進出も、昨年までの出場6大会は初戦敗退が続いている。鈴木貴は「喜ぶのは今日まで。しっかりと準備して、まず1勝したい」と09年以来になる令和元年の全国勝利を目標に掲げた。【佐々木雄高】