やぁるならぁ、今しかぁねえぇ~~。「日本生命セ・パ交流戦」で新人4人をスタメン起用した楽天が中日に競り勝ち、連敗を止めた。プロ初スタメンのドラフト2位太田光(ひかる)捕手(22)がエース岸を7回1失点と好リード。ブセニッツ、松井と勝利の方程式を導き、嶋が離脱した捕手陣を救った。

またドラフト1位辰己涼介外野手(22)、太田、7位小郷裕哉外野手(22)の3人で決勝点を挙げるなど、大活躍。銘打つならば「尾張の国から2019 新世代」の舞台で、ドラマチックな勝利をもぎ取った。

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父さん、ではなく平石監督。今日、太田は先発マスクをかぶったわけで…。北の大地ではなく名古屋の地で、ドキドキしていた…。

7日の朝、1軍に呼び寄せられた時、持っていたのはかぼちゃではなかった。グラブのケース、バットケース、他の道具のバッグ、スーツケース。泥のついた1万円札2枚ではなく、野球道具をしっかりと握りしめ、埼玉から朝一番の新幹線に乗ったわけで…。

初回の守備に向かう途中「めちゃめちゃテンパって」いたわけで。バッテリーを組むのはエース岸さん。緊張を落ち着かせるために念入りに右左のバッターボックスを足でならして、投球練習を待ったわけで。

誠意って何かね、と問われないような配球を心がけたわけで。2軍調整中だった岸さんと2度組んだ経験がある。直球は、ぐさりときていた。だから「岸さんは配球に関係なく、どこに投げても抑えられる。気楽にいけた」。140キロ台の直球と110キロ前後のカーブで十分だったわけで。

7回までの全96球で、直球が半分(47%)カーブが1/4以上(26%)。基本は打者の外角でカウントを整えて、最後は直球で差し込んだわけで。打者26人に3球以内で追い込む、もしくは抑えたのは20人なわけで。構えたところに来て、スイスイ抑えたわけで。

岸さんは、叱らなかった。この日は「お前に任せた」とほとんどサインに首を振られず。「首を振りたくなっても、我慢して投げてくれた。そんな状況でも抑える岸さんはすごい」と痛感したわけで。

初回に自信を持てた。1死一塁から二盗を仕掛けてきた相手に反応し、遊撃茂木さんへストライク送球で刺せたわけで。ビデオ鑑賞会でなく、打者の映像は前夜からしっかり確認してきた。「1発目で刺せたのは大きい」と、二塁送球で最速1秒78の強肩を披露できたわけで。あとは試合に集中するだけだったわけで。

最後は松井さんからウイニングボールを渡されて、尻ポケットにぎゅっと押し込んだわけで。1軍で活躍する同期を見て「あの舞台で早くやりたい」って思ったけど、「その中に入れて良かった」と思うわけで。「思い切ってやれ、暴れてこい」と言ってくれた母さん、いや平石監督。勝利の空はキレイです。【島根純】