阪神が頼れる2人の右腕でまさかの逆転負けを喫した。西勇輝投手(28)が昨年まで在籍したオリックス戦に先発。古巣から勝利目前の8回につかまり、ピンチで降板。2番手藤川球児投手(38)も踏ん張れず、試合をひっくり返された。西は8回途中5失点で6敗目。11球団白星も逃した。

  ◇    ◇    ◇

右翼へ飛んだ打球は、糸井が伸ばした手の先を越えていった。4-3の8回2死満塁、藤川が西野の内角低めに投じたフォークは暴投に。同点に追いつかれると、6球目の真ん中に入ったフォークを右翼へ運ばれた。「何十回、何百回と結果を出しても、1回ダメだったら、責任を負うポジションに変わりはない」。18戦連続で無失点に抑えていたベテランも、流れを止められなかった。

まさかの8回だった。「力不足。ただそれだけです」。先発の西は、短い言葉に悔しさを込めた。初回にロメロに先制の2ランを被弾するも、その後はピンチすら作らなかった。4回からは4イニング連続で3者凡退。しかし終盤につかまった。8回に先頭の小田に左前打を許すと、そこから3連打を浴び1点差に。犠打で1死二、三塁とされたところで、藤川にマウンドを譲った。「今日に限っては自分の力不足です。粘り切れなかった」。敗戦の責任を背負った。

慣れ親しんだグラウンド、かつてのチームメートとの対戦。昨年まで在籍したオリックスが相手だった。「(やりにくさが)ないことはない。ほぼ年下の子ですし。こういう経験はなかなかないですし、いい風にとらえてやっていければいいかなと思います」と率直な思いを口にした。ここまでNPB10球団に勝利。勝てば12球団制覇に王手をかけるところだったが、それも幻に消えた。

矢野監督は思わぬ逆転負けにも誰も責めなかった。「俺が1個ぐらい遅れたかな。継投が遅れたかなというのは俺の反省の中ではある」。救援の藤川についても「疲れもあるやろ。そらあんな厳しい場面で俺が出しているんだから」とかばった。

西はこれで3勝6敗。好投を続けるも、5月10日の中日戦から約1カ月勝利が遠ざかる。「終盤が課題なので、自分の中で乗り切れるように、いいイメージをしながら次のマウンドに上がりたい」。右腕は前を向いたが、チームにとっては痛い連敗となった。【磯綾乃】