打順も信頼も変えへん-近本よ、はい上がれ! 阪神は「日本生命セ・パ交流戦」で18日からパ・リーグ首位楽天、同4位西武とのホーム6連戦(倉敷、甲子園)に挑む。

矢野燿大監督(50)は、21打席無安打の1番近本光司外野手(24)を交流戦ラストウイークのキーマンに指名。不振に苦しむドラフト1位に奮起を促し、4勝6敗2分けとしている交流戦で勝ち越しフィニッシュを狙う。

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不振にも不動の構えだ。チームは直前のオリックス戦を2敗1分け。3試合勝ち星から遠ざかっている。

矢野監督は交流戦残り2カードに向けて「当たり前やけど、全部勝ちたい。毎日、そうやっている」と前を向く。キーマンに挙げたのがここ4試合、21打席安打が出ていない若きリードオフマンだ。

「近本が機能していくのが、ウチの打線のリズムになってくる。キッカケをつかむ始まりになれば、監督としてはいい」

近本は12日ソフトバンク戦の第2打席を最後に快音が響いていない。それでも打順の変更については「俺の中ではない」と断言した上で、その可能性と将来に目を向ける。

「誰がどう見ても、結果は出ていない。凡打を見ても良くない。調子が落ちている。でも、バットに当たれば何かが起こる打者。どうしていくのかを見ていきたい」

悪いから代えるのは簡単なこと。それでも、ここまで走攻守でチームの躍進を支えているルーキーに信頼を寄せるからこそ、もがく中での成長を促している。

近本本人にも、焦りの色は見られない。ここ10試合は45打数3安打。3割付近を推移していた打率は2割7分8厘まで下げた。トップを争っていたリーグ安打数も1位の巨人坂本(80本)に6本離された5位(74本)にまで後退。しかし、普段通り冷静に自らを分析した。

「今のところは自分にベクトルが向いて、悪い方にいってしまっている。しっかり相手に合わせたり、状況に合わせた考え方もできたらいいかなと思っています」

独自の野球観で自らを推し量り、「塁に出ること」を自分の仕事と考える。

「結果が出ていないから打とうとせずに、自分の仕事を見つめ直してやっていきたい」

リーグ戦は首位広島と3ゲーム差の3位、勝ち越しを狙う交流戦は借金2。指揮官の指名に応える背番号5の躍動は、チームの上昇に必要不可欠だ。ここから近本が光を取り戻す。【奥田隼人】

▼近本が安打を打てばチームは通算25勝19敗1分けで勝率5割6分8厘、マルチ安打(2安打以上)なら15勝7敗の6割8分2厘にはね上がる。ノーヒットの試合では8勝11敗3分けの4割2分1厘だから、近本の貢献度が分かる。また先発1番に定着した4月12日中日戦以降に限ると、安打した試合での23勝15敗1分けの勝率6割5厘に対し、無安打では5勝8敗3分けで3割8分5厘。リードオフマンの成績が阪神の浮沈に直結している。