阪神大山悠輔内野手は厳しい表情を崩さずロッカー室に下がった。

「負けたら意味がないです」と一言。鮮烈な先制3ランの余韻など、とっくに吹き飛んでいた。

同点の9回1死一、三塁のサヨナラ機で遊ゴロに倒れた。マルテも倒れて最大の勝機を逸した。直後にショッキングな5失点だ。

それでも9回の打席でこの日一番の歓声を浴びたのは、初回の弾道を目撃していた虎党の期待の表れ。初回1死一、二塁から楽天美馬の抜けたスライダーを左翼ポール際に放り込んだ。「先制点がほしい場面で狙い球をしっかりと仕留められた。切れなくてよかったです」と試合中に球団広報を通じて振り返っていた。

5月30日巨人戦(甲子園)以来、19試合ぶりの1発。2年連続の2ケタ本塁打にも到達した。今季、全69試合で4番を任されてきた24歳は毎日、勝敗の責任を負っている。【柏原誠】