さぁ、甲子園の決勝だ。巨人丸佳浩外野手(30)が変則キラーの本領を発揮し、「日本生命セ・パ交流戦」優勝へ逆王手をかけた。

敗戦即、ソフトバンクの優勝が決まる一戦。原監督が「甲子園の準決勝」と位置付ける中、決勝打を含む3安打1打点の活躍でチームを勝利に導いた。短期決戦を想定した18日オリックス戦からの5試合で打率5割2分4厘、3本塁打、8打点と得点を量産。決勝戦に勝利し、5年ぶりの栄冠を勝ち取る。

   ◇   ◇   ◇

変則相手でも、丸の思考はシンプルだった。「そこまで難しく考えず、甘い球を振れるように」と意識した中で迎えた3回2死一、二塁。下手投げのソフトバンク高橋礼の浮き上がる直球を1球入魂のコンパクトなスイングで、中前にはじき返した。1番亀井からの連打で作った好機に先制打で応え、岡本の適時二塁打にも結び付けた。

丸 (坂本)勇人さん、亀さんがつないでくれたので、僕も岡本さんに…。あっ、すみません。岡本様につなごうと。

お立ち台では岡本いじりで笑わせたかと思えば、高橋礼の対策には真顔で的確に答えた。インタビューにも引き出しの多さをのぞかせたが、打席でも2種類のスイングを瞬時に使い分ける。20日のオリックス戦ではボールを上からたたくように左翼席へ1発。21日のソフトバンク戦では下からすくい上げるように、バックスクリーンに運んだ。

坂本勇を「だから、40本近く本塁打が打てる」と驚かせる技術は、日々の練習で磨きをかける。「常にはできないですけど」と話したように、試合前練習のフリー打撃で「振り上げるイメージ、振り下ろすイメージ」の2種類のスイングで練習。軌道を体と頭に植え付け、打席で実践する。

交流戦ラスト6試合を前に、原監督は「サッカーのカップ戦」と称し、短期決戦を想定した。丸は5試合を消化し、21打数11安打3本塁打8打点。チーム一の“ストライカー”と化した。好調の要因に「早寝早起きだと思います」と山口と同じ答えでまた笑わせた。

負ければ優勝が消滅するこの日はサッカーのカップ戦から、高校野球のトーナメントに位置付けが変わった。「今日は甲子園の準決勝。明日は決勝でしょ。そういう心境で戦おうということ」と話した指揮官に呼応するように、丸は「明日絶対勝って、交流戦優勝したいと思います」と必勝を誓った。【久保賢吾】