オリックスのルーキー荒西祐大投手(26)が6回途中5安打1失点の力投でプロ初勝利を挙げた。

スリークオーターから最速147キロの直球を軸に、凡打の山を築き、5回まで二塁を踏ませない投球。リリーフ陣の粘投も光り、念願の1勝目を手にした。「普通にめちゃくちゃうれしいです。とにかく味方が点をとってくれるまで相手に点をやらない気持ちで投げました」と笑顔をみせた。

熊本・玉名工から加入したホンダ熊本ではバイクの塗装業などを行いながら野球をする日々を8年過ごした。17年ドラフトで指名漏れし、プロを断念したことを機に同年12月に結婚を決断。「そこからなぜかめっちゃ良くなりました」。18年はアマチュア日本代表として8月のアジア大会銀メダルに大きく貢献。やっと昨秋のドラフトで3位指名されプロ入りした。

今季は中継ぎで4月中旬に1軍に昇格も、同21日の楽天戦を最後に2軍に降格。後中垣球団本部パフォーマンス・ディレクター指導のもと、バーを担いで横跳びなどで投球時に三塁方向に傾いていた体重を打者へ向くよう修正。「自分でも分かるくらい直球がかなり良くなった」。手応えをつかんで慣れ親しんだ先発で1軍再昇格し、結果を出した。2軍調整中にグラブを社会人時代に愛用したものに変更。「こっちの方が使いやすいので」。網部分にかたどった故郷熊本県の形を大事そうになでた。

これで球団初の3年連続交流戦勝ち越しが決定。連勝に導いた右腕に西村監督は「よくあそこまで投げてくれた。中継ぎの時よりも打者に攻めていけていた」と称賛した。頼もしい新戦力が加わった。【古財稜明】