優勝の陰でソフトバンクの正捕手甲斐、抑え捕手高谷が力を合わせ若い投手陣を引っ張った。

前日まで2試合で9打数6安打だった巨人3番丸を、この日は4打数無安打に封じた。丸の前に走者を置かないこと、丸を打たせないことに集中した。8回から甲斐に代わった高谷は「最後を任せてもらっているからにはスッと抑えて帰ってきたい。投手がいい球を投げてくれたから」と、2イニングをともに3者凡退で抑えた。

交流戦から高谷の「抑え捕手」が増えた。森ヘッドコーチは「今は拓也だと危ないという雰囲気を感じている」と説明。交流戦初戦の4日中日戦で5-0から6回に満塁本塁打、7日広島戦でも4-0から8回に鈴木に3ランを浴びた。交流戦は今季もパ・リーグ勢が強く、1つの負けが再開後のペナントに響くことも理由の1つだった。

リーグ戦は正捕手3年目の甲斐を不動の存在にすべく先発で使い続けたが、方針を転換した。ただ、吉鶴バッテリーコーチは愛情を込めてプラス要素を語る。「捕手は現役を終えるまでずっと勉強。配球に100%の答えはない。最後までマスクをかぶれず悔しいという思いを糧にして、ベンチから高谷のリードを見ることで勉強してもらえれば」。

甲斐は交流戦で17試合に出場し打率3割3分3厘、2本塁打、9打点とバットでも貢献したが「相手のデータが少ないから打てている部分もあるが、打撃のことはあまり考えていない」と守りでいっぱいだった。工藤監督は「疲れもたまっているので、ケガをしてもらっては困る」。故障者続出の中でも正捕手の離脱は避けたい。今季は全72試合中71試合、甲斐が先発。首脳陣は交流戦で高谷というベテランのスパイスを加え、球界トップクラスの強肩、捕球技術の成長を促した。【石橋隆雄】