トレードに2軍通告。広島緒方孝市監督(50)がチームの変革を推し進めている。試合前には下水流と楽天三好との交換トレードが発表され、巨人から移籍の長野は2軍合流となった。リーグ最下位のヤクルトとの接戦を落とし、引き分けを挟み3連敗。首位巨人とのゲーム差は4ゲーム差に広がった。

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リーグ2位で優勝争いを繰り広げながらも、緒方監督はチームの変革に余念がない。試合前には楽天との交換トレードが決まり、三好の加入が決まった。加えて、経験のある長野を朝から2軍で調整させた。リーグ戦再開後、引き分けを挟み3連敗も、指揮官は懸命に前を向いた。

緒方監督 これを打破しないと。地元のゲームでこれだけの声援の中、力をもらっているのでね。明日切り替えて戦っていくだけです。

4回にバティスタの三塁ベースに当たる幸運な適時打で得点を奪うも、同点の6回に遊撃田中広の適時失策で決勝点を許した。田中広は「イレギュラーしようが、あそこは前で止めるべきだった。申し訳ない」と敗戦の責任を背負った。ただ、投打の歯車だけでなく、ベンチと選手の歯車もかみ合っていない。

変革には聖域などない。昨年、西日本豪雨後初の本拠地試合で巨人相手に劇的な延長逆転サヨナラ2ランを放ち、3連覇に貢献した下水流をトレードで放出。勝負強い打撃に加え、打撃技術や人間性は一目置かれる存在だが、右の内野手獲得にかじを切った。

長野には2軍調整を宣告。出場選手登録抹消こそ持ち越されたものの、高ヘッドコーチは「明日(3日)抹消します」と明言した。先発出場した最近5試合で20打数5安打で打率2割5分も、代打で5打席連続無安打で再調整となった。3日先発予定のローレンスに代わって、チーム最多タイ18本塁打を放ち、5月の快進撃を支えたバティスタの2軍降格も決まった。

重苦しい空気がチームを包む。最下位で交流戦を終え、リーグ戦再開後も引き分けを挟み3連敗。首位巨人とは4ゲーム差に広がった。まだ慌てる時期ではないが、チームは活性化を求める。選手を鼓舞するだけでなく、選手の力を最大限に生かす戦術も求められる。【前原淳】