広島床田寛樹投手がようやく勝利の女神を振り向かせた。6回5安打2失点で8試合ぶりの6勝目。低めを丁寧に突き、4回以降は1安打。1点差の9回は、ベンチから祈るような視線を送った。「やっぱりうれしい。考えないようにしていたけど、勝ちたいな、勝ちたいなと思っていた。野手の方が助けてくれて、リリーフが抑えてくれたので勝つことができた」。久しぶりに笑顔をはじけさせた。

5月24日巨人戦で5勝目を挙げた後、勝ち星から遠ざかった。リリーフが打たれて勝ちが消えたのが3試合。6月20日ロッテ戦は6点のリードを救援陣が追いつかれた。それでも絶対に人のせいにせず、毎試合出てくる反省点をつぶすことに神経を使ってきた。

左肘のトミージョン手術から復活して1年目。先発ローテを守るのは初めてだ。「1カ月がんばろう、それができればまた、次の1カ月がんばろうと思ってやってきた」。無頓着だった自らの体のことも考えるようになった。7月初旬の名古屋遠征で、初めてプロテインやアミノ酸を購入。水分補給にも気を配る。「気持ち、楽になっている気がします」と笑う。

打ちまくった翌日は1点差逃げ切りで8連勝。首位巨人とのゲーム差を「5」にまで縮めた。流れは確かに広島にきている。【村野森】