完敗ゲームで阪神近本光司外野手(24)が希望を見せた。初回に右翼線三塁打を放ち、シーズン100安打に到達。阪神新人選手の100安打は16年高山以来、球団史上7人目だ。

「今日一日、一打席目をテーマとしています。一打席目に自分の仕事ができてよかったです」

2球目、内角にきた桜井の139キロカットボールに対応した。「ここ2試合、内角を攻められていたので、そのあたりも頭に置きながら」。一塁線を破ると、自慢の快足を生かしてグングン加速。二塁を蹴って一気に三塁を奪った。直後、2番糸原の右犠飛で生還。プレーボールわずか6球で先制点を奪った。

95試合目での100安打については「自分の仕事ができれば、ヒットの本数は関係ないです」と控えめに言った。だがシーズンで換算すると驚異の150安打ペースで、16年新人王の高山がマークした球団新人記録の136本を上回る勢い。1958年(昭33)に長嶋茂雄がマークしたセ・リーグ新人最多の153安打超えも夢ではない。

バットでは存在感を示したが、課題も残った。4回の中堅守備では亀井のライナー性の当たりを後逸。三塁打にしてしまい、失点につながった。「勝負して捕れなかった。練習します」。9回には左腕に死球を受けた。痛がるシーンもあったが試合後は「大丈夫です」と堪えた。多くのことを体で覚えながら前進する。30日からは甲子園に帰り、長期ロード前最後の中日3連戦。仕切り直して、再び逆襲をけん引する覚悟だ。【真柴健】