広島が2夜連続で鈴木誠也外野手(24)と菊池涼介内野手(29)による重盗を成功させ、4点差逆転勝利を引き寄せた。4点を追う4回。1点を取り、なお1死一、三塁。一塁走者鈴木はカウント1-2から、阪神高橋遥が打者松山に集中する隙をつき、スタートを切る。松山は三振も、捕手の二塁送球がそれ中堅に抜けた瞬間、スタートを切っていた三塁走者菊池涼が悠々とホームへ滑り込んだ。

会心の重盗がチームを勢いづけた。メヒアの3ランが飛び出しこの回一挙5点で逆転。4点差以上の逆転勝ちは今季4度目だ。8日DeNA戦も重盗で突破口を開いた。しかも同じ鈴木と菊池涼のコンビ。広瀬外野守備走塁コーチは「各選手が思い切ってやってくれている。打つだけじゃなくいい意識、いい準備でやってくれている」と話した。

鈴木は一昨年に右足首の手術を受け、患部を固定するボルトを抜いて初めてのシーズン。リハビリ中のキャンプ前に「走ります」と宣言していた。その趣旨を「けがをしたから、あえて言っているんです」と説明した。17年は負傷前まで16盗塁しており、20盗塁できる手応えがあった。だから、けがが治ればチームのためそのくらいは走る決意だった。重盗については「サインなんであまり言えないんですけど」と話したが、チームのために全力を尽くす思いは変わらない。

菊池涼は試合でベストのパフォーマンスをするため頭をフル回転させている。必要ならどれだけ暑くても走るが、思い切って練習量をセーブし消耗を防ぐこともある。小麦を取らないグルテンフリーを続け体調管理。研ぎ澄ませた感覚を、ここぞの走塁で発揮した。2試合連続の本盗成功は、実に63年ぶりの快挙だ。

走塁で勝利を引き寄せ、猛打でたたみかける。巨人がサヨナラ勝ちして1・5差はそのままだが、広島らしい戦いで首位の背中を追いかける。【村野森】

▽広島メヒア(4回に逆転3ラン)「追い込まれていたのでコンパクトに打ちにいきました。いい反応で捉えることができました」