阪神のドラフト1位、近本光司外野手(24)が128安打で球団新人安打数の4位、01年赤星憲広氏に並んだ。

まずは初回の第1打席。先発山田大から遊撃への内野安打で127安打目。8回の第4打席も先頭。3番手坂本の外角高め直球を引っ張り、鋭い当たりで一、二塁間を破った。「最高です。自分の中ではどんな形でもいいので出塁しようと思っていた。ボール球だったけど、タイミングが合いました」。マルチ安打で128本目とした。赤星氏の記録に肩を並べ「光栄です」と笑顔を見せた。

同じ左打ちの外野手、リードオフマンとして姿が重なる近本と赤星氏。球団と仮契約を結んだ昨冬から憧れと語り、意識してきた。「(赤星氏)2世というよりは超えるような選手になりたい。目指していかないといけないと思っています」。その言葉通り、ルーキーイヤーから記録を塗り替えていった。5月2日広島戦(甲子園)で13試合連続安打を放ち、赤星氏の持つ球団新人の連続試合安打記録を更新。盗塁数も25で、赤星氏が盗塁王を獲得した新人時代の39を追いかけている。残りは26試合。安打数では、136安打で球団新人記録の16年高山を射程圏に捉え、153安打でセ・リーグ記録の58年長嶋茂雄も十分に狙える数字だ。 7回には試合を左右するビックプレーも飛び出した。1点差に迫られ、なおも1死三塁のピンチ。バレンティンの中飛を捕球すると、タッチアップを狙った三塁走者山田哲を刺すべくノーバウンド送球。いったん、判定はセーフとなったがリクエストで判定が覆り、同点機をつんだ。両リーグトップの10補殺目。「ラインをしっかり出そう、強く投げようと思っていた。ボールは高かったですけど、アウトになって良かったです」と振り返った。矢野監督は近本の好返球に「(走者を)殺す意欲でしっかりアウトにできたのは大きい」と評価。スーパールーキーが憧れのスピードスターを越えていく。【奥田隼人】