新たな勲章を手にした山賊が、鷹に待ったをかけた。

西武秋山翔吾外野手(31)が、4点リードの6回に20号2ランを放ち、3年連続20本塁打をマーク。チームでは5人目の到達で、日本人による“クインテット(五重奏)”は01年巨人以来史上2度目で、パ・リーグでは初めて。しかも全員が生え抜き選手というおまけつきだ。

ロッテに6-1で快勝し、首位ソフトバンクとゲーム差0。14日にも、逆マジックを点灯させる。

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和製五重奏の快音は、沈黙の右翼スタンドまで打球を運んだ。秋山は6回2死二塁で、スライダーをとらえた。この試合3安打目となる20号2ラン。6点差に広げ、ロッテ応援席には静けさが漂った。ソフトバンクが試合のない中でのゲーム。「もうここからは、首位とゲーム差がない中で、今日が大事だといい続けるだけ」。一戦必勝の覚悟を胸に試合に臨み、バットで結果を残した。

山賊では5人目のシーズン20本塁打到達。山川、中村、外崎、森に続くクインテット(五重奏)を奏でた。「19本よりは20本の方がいい。区切りというか、打率2割9分9厘と3割は違う。選手には数字への思いがあるから、出てよかったと思う」。秋山にとっては3年連続打率3割、20本の1つを達成。同時に、チームとしては日本人5人での達成はパ・リーグ初の快挙につながり、山賊打線は新たな勲章を手にした。

前夜の首位陥落にも、希望の光を見いだしていた。接戦の1点差で惜敗も、終盤、反撃の初手は秋山だった。千賀のフォークをとらえ、右中間適時二塁打。あと1歩のところまで追い詰めた。「最後、チームとして戦い抜いた感じがあった。それが大事。今日の朝、みんなの顔を見ても悲愴(ひそう)感はないし、それがこのチームのカラー」。悔しい負けも引きずることはなかった。

だからここ20戦で連敗はない。15勝5敗という驚異的な勝率につながっている。ソフトバンクとはゲーム差ゼロ。最短で14日にも西武に逆マジックが点灯する。「優勝争いをすることで、最後まで気持ちを切らさずにやれる喜びはある。もちろん苦しさもあるけど、それを乗り越えていきたい」。主将として、リードオフマンとして、山賊の先頭を秋山が走る。【栗田成芳】