春季リーグを5季ぶりに制した明大は、東大を相手に薄氷を踏む勝利で先勝した。

エース森下暢仁投手(4年=大分商)が、4回に東大石元悠一三塁手(3年=桐朋)に右翼へ先制ソロを打たれて先手を許す苦しい展開となった。

明大は6回、犠飛と和田慎吾左翼手(4年=常総学院)の逆転適時打で2-1とリードを奪うが、森下が8回1死二塁から青山海一塁手(4年=広島学院)に右中間へ同点タイムリーを許し、試合は開幕戦から延長戦に突入した。

明大は延長12回1死一、三塁から途中出場の公家響三塁手(3年=横浜)の犠飛で再びリードを奪い、結局この回2点を加点して粘る東大を突き放した。

試合後の森下は笑顔は一切なく「チームとして勝てたのはいいけど、相手の投手をもっと早く崩さなければいけなかったし、先制されたのも反省点です」と、まるで敗戦したかのような重苦しい表情を見せた。「今日は東大の応援も、ベンチの雰囲気も、守備の雰囲気も上でした」と言葉を続け、受け身に回っていたことを口にした。

自身のピッチングについては「ストレートは良かったと思いますが、変化球が全然でした」と154球で延長12回を投げきり、7安打2失点の内容に厳しい採点。

試合前のセレモニーでは選手宣誓を任され、その大役の途中で言葉が途切れる場面があった。その点を聞かれると「外野から『ガンバレ』という声援も飛んでました。開幕式では歩きながらブツブツ言ってましたし、セリフが飛んだ数秒間は何を思っていたのかすら思い出せません」と正直に答えた。報道陣から笑いが起きると、この時だけはつられて白い歯を見せた。

6月の全日本大学野球選手権で38年ぶりに日本一に輝き、MVPの森下はまさに大学NO・1投手として、満を持して秋季リーグ開幕投手の大役を担った。それだけに、東大相手に先制され、同点打も許し、反省点ばかりが口をついた。

ドラフト会議まで1カ月。総合力の高い即戦力としての評価が定着しているだけに、第3週での早大戦へ向け、巻き返しを図る。