久しぶりに、札幌ドームが揺れた。日本ハム中田翔内野手(30)の打撃に、超満員4万1138人が大興奮した。1点を追う8回1死一、二塁。「たまたま、いいところに転がってくれた」と左前に同点適時打を放った。さらに、守備の乱れを突いて二塁まで進塁。逆転へのお膳立てまで整えた。「最後、清宮がしっかりと決めてくれたので、よかったです」。6回には1点差に迫る中前適時打も放っていた。主役は後輩に譲ったが、4番が逆転勝利へ向かう道筋を付ける、価値ある仕事を果たした。

中田 もどかしい試合が続いているけど、今日みたいな粘って粘って最後に勝つのがファイターズらしい野球だと思う。

チームとともに、自身も思わぬアクシデントでつまずいていた。10日楽天戦(東京ドーム)で後頭部を強打して以降、むち打ちによる首痛とも戦いながらグラウンドに立ってきた。6回の適時打は、そのアクシデントから復帰後初めての安打。直前に西川と大田が気持ちのこもったチャンスメークをしてくれた。「何とかしたいという気持ちだった」と気合で応えた。

優勝への望みは完全に断たれ、2位の芽もなくなった。ただ、CSへの道は、まだ閉じていない。「簡単に、うまくいかないのは分かっている」と一喜一憂はしない。ただ、願うのは1つだけ。「この試合がチームにとって、いいきっかけになればと思う」。主将はチームの約束事、最後まであきらめない姿を体現していく。【木下大輔】