阪神が星稜・奥川恭伸投手(3年)を、今秋ドラフト1位の最有力候補に挙げていることが23日、分かった。4季連続で甲子園に出場した経験値と大舞台で発揮し続けた実力を評価。並外れたポテンシャルを持つ大船渡・佐々木朗希投手(3年)の名前が挙がる中、10月17日のドラフト会議まで1カ月を切り、甲子園のスターが最右翼に浮上。即戦力の逸材を中心に絞り込んでいく。

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幾度となく甲子園を沸かせた高校生右腕を、阪神が1位候補のトップに置いた。奥川は18年春から4季連続で甲子園に出場。今夏の甲子園では決勝で153キロを計測するなど、エースとして星稜を準優勝に導いた。8月末から韓国で行われたU18W杯ではカナダ戦で18三振を奪うなど、世界相手にも圧倒的な投球を見せた。

大舞台で発揮した実力と経験値。最速158キロの直球に落差のあるスライダー。高校生とは思えない完成された投球術を、阪神は高く評価する。今夏の甲子園決勝を視察した阪神谷本修球団副社長兼球団本部長は「パワーありますよね。馬力ありますよね。馬力あるし、縦のスライダーも素晴らしい。極めて高い評価ですね。もともと高い評価です。大観衆のなかでも臆せず投げられるのもスゴイ」と賛辞の言葉を並べていた。10月17日のドラフト会議まで1カ月を切るが高評価は揺らいでいないようだ。

阪神の投手陣は今季、長く大黒柱だったメッセンジャーが引退を表明。藤浪はプロ7年目で初のシーズン0勝が濃厚。FA加入した西が軸で青柳や高橋遥ら若手が台頭し、先発ローテーションを守るが、駒不足に陥ることもあった。望月、浜地ら高卒投手も来季の戦力として期待する中、奥川指名で層を分厚くしたい思惑だ。阪神のドラフト1位は近年、大学や社会人の即戦力野手の指名が続く。15年高山、16年大山、18年近本。高校生投手の1位指名となれば、12年に4球団競合の末に獲得した藤浪(大阪桐蔭)以来7年ぶり。今年の奥川も1位指名の有力候補に挙げる中日を始め、競合は必至だ。今後は他球団の動向を注視し、矢野監督ら現場の声を集約しながら最終的に1位候補を決める。

今年は例年以上に投手のドラフト候補が豊富だ。奥川の他には、明大・森下暢仁(4年=大分商)や社会人左腕のJFE西日本・河野竜生(21=鳴門)らが候補に挙がる。ポテンシャルなら大船渡・佐々木が随一だ。ドラフト本番に向けて絞り込みは最終段階に入る。