広島緒方孝市監督(50)が1日、マツダスタジアムで会見し、今季限りで退任することを発表した。

リーグ4連覇を目指したがクライマックスシリーズ(CS)進出を逃し、4位で全日程を終了。成績不振の責任を取ってユニホームを脱ぐ。球団史上初の3連覇を達成した黄金時代が1つの区切りを迎え、広島は新監督を含めた新体制づくりに取りかかる。

昨年まで3年連続でセ・リーグを制した緒方監督が勇退することになった。4連覇を逃した今季は70勝70敗3分けの勝率5割。最後は6連勝の阪神にかわされ、4位に終わった。その責任を取る形でユニホームを脱ぐ。辞意は固く、球団側は慰留を断念した模様だ。

緒方監督は1年目の15年は4位に終わったが、16年に25年ぶりのリーグ優勝を遂げ、そこから3連覇。育成と勝利という、相反するテーマに正面からぶつかってきた。16年は1番田中、2番菊池、3番丸の「タナキクマル」を確立。17年は岡田、薮田、大瀬良を抜てきした。18年はタナキクマルを解体して活路を開いた。選手が入れ替わるのはあたりまえ。前年のチームに何をプラスできるか、寝る間も惜しんで考えてきた。

今季は逆風が吹き荒れた。不振の田中広を、将来を背負うレギュラーと信じて使い続けたが、調子が上がらなかった。中崎、フランスアをはじめ、救援陣が安定感を欠いた。3番に据えたバティスタは8月下旬にドーピング違反で離脱。自らの行きすぎた指導が大きく取り上げられたこともあった。「結果は監督の責任。言い訳はしない」。そう言い続けてきたが、心身へのダメージは重なった。優勝を逃した時点で、辞意を固めたとみられる。

健康面の不安もあった。3連覇した前年に続き、今年も終盤に体調を崩した。せきが止まらず、周囲に悟られないように病院に通い、点滴を打ちながら指揮を執ってきた。それでも、早朝からの映像チェックは愚直に続け、チームの打開策を必死に探った。たばこの量ばかりが増え、体は悲鳴を上げていた。

5年間続いた緒方体制が終わり、広島は新しい時代に突入する。まずは、新監督選定が急務となる。