侍ジャパンの稲葉篤紀監督(47)が東京ワールドカップ(五輪)の前哨戦となる11月開幕のプレミア12へ、独自色を打ち出す。

1日、都内でカナダ戦(31日、11月1日=沖縄)も含めた28人のメンバー発表し、トップ代表歴のないソフトバンク周東佑京外野手(23)を選出した。終盤でのジョーカーとして球界屈指の韋駄天(いだてん)を指名。一塁手には本職が二塁手の楽天浅村を起用し、オリックス山本の抑え構想も披露。稲葉カラー全開で臨む。

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稲葉監督がジョーカーを28枚の手札に加えた。今季育成から支配下に上がった周東。代走中心で盗塁成功率8割3分3厘で25盗塁を決めた。だがレギュラーではない。それでもメンバー表に記した。「終盤での1点。非常に大事になる。終盤に代走で警戒された中で盗塁ができる。二塁走者で安打1本でかえれる。ジャパンでも必要と考えた」と説明した。

昨年ともに戦ったU23ワールドカップ(W杯)の印象が鮮烈だった。外野手として終盤に補殺3つと守備力も光った。過去に主要国際大会でスペシャリストの選出例は少ない。選手枠の兼ね合いがあり選びにくい。東京五輪では今大会から4枠減り24人。「五輪とプレミアは人数が違う中で今回はスペシャリストを存分に生かす。五輪にどうつなげるかは切り離してやっていく」とプレミア12仕様で加えた。

唯一、本職を選ばなかった一塁手は浅村を指名。「ぜひやってほしいと言ったら、快くどこでもやると言ってもらった」。代表で経験のある山田も控えさせる。また最優秀防御率に輝いた山本の起用プランは幅広い。昨年はセットアッパーを務め「先発も中も抑えも考えている。ある程度先発を決めた中で、山本選手がどういうところで生きるかしっかり考えたい」と勝ちパターンも見据える。

台湾、韓国、欧州・アフリカ予選を視察した中で決めた布陣。「イキのいい若手や長距離打者ばかり並べても勝てない。スピード、パワー、経験をバランス良く構成し、ベテランやスペシャリストを加え、目の前の試合を勝つために最適なメンバー構成ができた」。最強と自負する28人で世界一に挑む。【広重竜太郎】