感動のバトンリレーでCS突破や! 阪神矢野燿大監督(50)が2日、再びの奇跡実現を誓った。

5日から始まるクライマックスシリーズ(CS)のDeNA戦(横浜)に向けて甲子園で全体練習を再開。虎将は、日本列島に夢と感動を与えるラグビー日本代表のリーチ・マイケル主将(30=東芝)から大きな刺激を受けたことを明かした。心を震わせる戦いでリーグ3位からの下克上を狙う。

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あのフレーズには理由があった。矢野監督が練習が再開された秋晴れの甲子園で熱く語り始めた。

「オーバーに言えば、バトンが俺に来たんちゃうかなと。スポーツ界みんなで、日本を元気にしようぜって。子供らに夢を与えようぜ。俺らはラグビーやで、俺らはバレーやで、俺らは野球やでって。つまりスポーツ界のつながりを、俺が勝手に想像したんのよ。リーチ・マイケルから俺がバトンを何となくもらった気がしたから」

劇的な6連勝で奇跡の逆転CSを決めた9月30日の夜。最終戦セレモニーでマイクの前に立った指揮官は、興奮冷めやらない甲子園のスタンドにファンに感動、子供たちに夢を与えられるチームになると語った。引き合いに出したのは、優勝候補のアイルランドを撃破し、日本中を熱狂させるジャパンラグビー。主将を務めるリーチ・マイケルが激戦から一夜明けて語った「女子バレーボールの試合に感動した」という言葉が頭に残った。

ラグビー好きを公言する矢野監督は、将来のラグビー界を背負って戦うサムライたちの姿に大きな刺激を受けた。「『日本のラグビー界をどうにかしたい』とか大きな目標というか目的がある。それが常にあるから、厳しい練習もできる。それを想像して『俺らがアイルランドに勝ったらどうなるねん』って…」。その言葉はさらにヒートアップした。

8月には最多借金7を抱え、9月15日には残り9試合で3位と4・5ゲーム差。絶体絶命のピンチから信念を貫き、CS切符をもぎ取った。リーグ3位から頂点を狙う矢野阪神の戦いぶりは、日本ラグビーの姿とも重なる。DeNA、巨人を撃破し、下克上で再びの奇跡実現へ。日本をアッと驚かせるような戦いが、横浜から始まる。【桝井聡】

◆矢野監督の最終戦スピーチ 30日中日戦(甲子園)終了後、グラウンドで観客にあいさつ。その中で「日本では、ラグビーワールドカップで、日本チームが、日本中に大きな感動を与えてくれています。僕たち阪神タイガースも、ファンの皆さんにこれから感動と、そして子供たちに夢を与えられるような、そういうチームになっていきます」と力強く話した。

◆ラグビー日本代表はバレーボールから感銘 9月28日にラグビーW杯アイルランド戦で歴史的勝利を飾った一夜明けの会見で、日本代表リーチ・マイケル主将が自ら「女子バレーボールの試合に感動しました」と切り出した。「今日の試合も皆さんで応援しましょう」と呼びかけ、刺激を受けた様子だった。

◆バレーボール女子日本代表の感動勝利 27日のバレーボール女子W杯で、世界ランキング6位の日本代表が同1位のセルビアに勝利。2セットを奪われながら3セット連取する3-2の逆転勝ちだった。中田久美監督は試合後「最後まで選手たちが諦めず戦ってくれた」と話した。