プロ野球唯一の通算400勝投手で元ロッテ監督の金田正一(かねだ・まさいち)氏が6日午前4時38分、急性胆管炎による敗血症のため、都内の病院で亡くなった。86歳だった。

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金田監督と言えば、豪放磊落(らいらく)なイメージが強いが、気配りの人でもあった。ロッテ監督時代、福岡遠征のたびに、中洲にあった行きつけの屋台に担当記者は“集合”が掛けられた。「好きなもんを食べて、どんどんいい記事を書いてくれ」と豪快に笑い飛ばしていた。

ユニホームを脱いだ後は毎年、雑誌で王貞治氏、長嶋茂雄氏と3人でONK対談を企画。その際も対談場所の料亭に記者を招き入れた。名球会会長として毎年、オフでハワイ総会を行う際も、名球会団体旅行を組んで、報道陣と現地で交遊の機会をつくっていた。

ロッテ監督時代の90年、専属広報だった丸山一仁氏は、裏方としての極意を教えられたと言う。遠征で新神戸駅についた時「気が付かないのか」と注意された。乳児を背負った女性が荷物を持って階段を下りていた。その姿を見て、金田監督の意図に気付いた。女性の荷物を持つ手伝いをした後に、教えられた言葉。大事なのは「目配り気配り心配り」。大投手には、こんな横顔もあった。