広島は16日、都内でスカウト会議を開き、17日の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で明大・森下暢仁(まさと)投手(4年=大分商)を1位指名することを決めた。即戦力ぶりにほれ込んだ佐々岡真司監督(52)の思いをくみ、将来性を重視した大船渡・佐々木朗希投手(3年)星稜・奥川恭伸投手(3年)の指名は見送る。競合した場合は、“勝負パンツ”をはいた同監督が抽選に臨み、当たりくじを引き当てる。

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佐々岡監督は、引き締まった表情で1位指名を公表した。「僕としては明治の森下君でいきたいと話して、通してもらいました。フォーム的にも明治で4年間やってきたものがある。スピードもあるし、コントロールもある。そこにほれました」。大学NO・1右腕に対し、胸に秘めていた思いを明かした。

広島はここまで、1位候補を大船渡・佐々木、星稜・奥川を含めた3人に絞っていた。高校生2人の将来性も高く評価していたが、新監督にとって何より欲しいのが即戦力投手。先発、抑えの候補になりうる森下は、うってつけの存在だった。佐々岡監督は「(先発かリリーフかは)入ってからですけど、まずは一番欲しいという考えです」と説明した。

競合必至の恋人を、“勝負パンツ”で引き当てる。くじ引き役を務めることも決まり「1位指名で(競争は)覚悟の上」と意気込んだ。この日は新しいパンツを購入。欲しかったチームカラーの赤はなかったが、別の色から2枚を選んだ。当日朝のインスピレーションで、どちらにするか決める。くじを右手でひくか、左手でひくかについては「決めてるんで、それは明日…」と明かさなかった。本気度の表れだ。

自身の運については「どうですかね」と首をかしげたが、ドラフトにまつわる運はある。NTT中国時代の89年、意中の広島に単独1位指名されて入団した。新日鉄堺の野茂英雄が史上最多8球団に1位指名された年で、野茂に人気が集中していなければ、広島の一本釣りに「横やり」が入っていたかもしれなかった。

30年の時が流れ、今度は自分がくじを引く可能性が高い。佐々岡監督は「自然体で臨む」と自らに言い聞かせた。【村野森】

<広島ドラフト会議出席予定者>

佐々岡真司監督、松田元オーナー、松田一宏オーナー代行、鈴木清明球団本部長、苑田聡彦スカウト統括部長、田村恵スカウト部課長