燕のエースの系譜に、奥川の名前が刻まれる。伊東編成部長、阿部担当スカウトから指名あいさつを受け、監督の直筆メッセージ「奥川君へ 神宮で待ってます 高津臣吾」としたためられた「交渉権確定」のくじを手渡され、笑みがこぼれた。「本当にうれしかった。今回ご縁をいただけたので、ヤクルトで頑張っていきたいです」と言葉を選びながら、静かに話した。

球団は背番号「11」を検討している。甲子園でフィーバーを巻き起こした荒木大輔(現日本ハム2軍監督)が、83年から95年まで背負っていたエースナンバー。06年にはメジャーから復帰した高津監督も1年間つけており、昨年までは07年高校ドラフト1巡目の由規(現楽天)の番号だった。契約金1億円、年俸1500万円の最高条件を提示する可能性が高く、同編成部長は「数年後には、球界を代表する投手になると想像する。40、50(歳)までの息の長い投手になってほしい」と熱望した。

ドラフト会議から一夜明け、山下智茂総監督から「しっかり自分で見て、判断する力をつけなさい」と社会人の心構えを説かれた。読書もすすめられ「今まであまり読まなかったので、これから読みます」とはにかんだ。球団は今後、ヤクルトの宝としての育成プランを練り上げる。「球界のエースになれるように頑張りたいです」。金沢の地から大空へ羽ばたく。【保坂恭子】