巨人が新外国人発掘へ、経験豊富な「現場の目」で中南米ルートを強化する。29日、来季のコーチングスタッフを発表した。今季引退した阿部慎之助捕手(40)は2軍監督に就任し、元木大介ヘッドコーチ(47)、水野雄仁巡回投手コーチ(54)とともに中南米を中心に行脚する。前ヤクルト打撃コーチの石井琢朗氏(49)が野手総合コーチとして入閣し、三沢興一ファーム投手コーチ(45)が1軍投手コーチを務める。

   ◇   ◇   ◇

リーグ連覇、8年ぶりの日本一を目指す来季陣容が固まった中で、阿部2軍監督、元木ヘッドコーチ、水野巡回投手コーチが、来月ドミニカ共和国で球団が開催するトライアウトを視察することが決まった。今季8勝を挙げたメルセデスも同トライアウト出身で、昨季はモタ、ラモスの育成選手2人を獲得した。

昨年までは国際部の担当者が各選手の力量を見極めてきたが、今季から現役コーチを派遣することで、多角的な視点を取り入れていく。球団幹部は「いい選手がいるか、現場の目で見てもらいたい」と説明。入団から19年間、主力として活躍した阿部の眼力に加え、元木ヘッドや水野コーチは、1年間1軍で戦った経験をもとに、補強ポイントに合致した選手を見極めることができる。

次代の監督候補筆頭に挙がる阿部にとっては、トライアウトの視察に加え、外国人選手のレベルや練習環境を知る貴重な機会にもなる。現役生活中は目が届かなかった領域に足を運ぶことが財産となり、肌で感じた見聞が指導、采配にも生かされる。また、NPBの若手有望株が派遣される台湾でのウインターリーグの視察も検討されている。

巨人の今季外国人選手は、前年にメジャー20本塁打のビヤヌエバが8本塁打に終わり、守護神候補として獲得したクックも通算6セーブ。新外国人を含めた来季の補強案については、24日に原監督と山口オーナーが協議を行った。メジャー実績がある大物に加え、高い身体能力を誇る中南米選手の獲得はチームの底上げに直結する。新体制は11月1日からスタート。才能豊かな「金の卵」発掘が、大きな仕事の1つになりそうだ。