五つ星のプレーで頂点目指せ! 虎の総帥が世界最高峰の話を引き合いに日本一指令だ。

阪神藤原崇起球団オーナー(67=電鉄本社会長)が12日、高知・安芸秋季キャンプを視察。世界トップのホスピタリティーを誇るとも言われるザ・リッツ・カールトンの創業者にまつわる話を引用し、悲願の日本一に向けてハッパをかけた。

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全体練習開始前、藤原オーナーが首脳陣、選手の円陣に向かった。約5分間の訓示。引き合いに出したのは、世界最高の顧客満足度を誇るとされるザ・リッツ・カールトンだ。なぜ、同ホテルグループが世界トップクラスに押し上げられたのか。藤原オーナーは「今までいるお客さんを維持する、新しいお客さんに来ていただく、今まで来ていただいたお客さんにもっと足しげく来ていただく」との明確な目標を持っていたからだと説明。そして、来オフの美酒に向け、呼びかけた。

「1人1人がターゲット、目標を持つこと。それをクリアすることで日本一に近づいていってほしい。日本一の選手になれるように1人1人が目標を持って、そして日本一のチームになれるように」

藤原オーナーは、ザ・リッツ・カールトンの共同創業者であるホルスト・シュルツ氏の話を知り「ターゲットを明確にすることが一番大事」と受け取った。同グループは、スタッフ1人1人が明確な目標を掲げ、既存客や新規客の満足度を上げ、さらにリピート率アップにもまい進しているという。チームに例えれば勝率のいい対戦相手にはその傾向を維持しつつ(=既存客の維持、リピーターの増加)、苦手球団をなくすこと(新規客を呼ぶ)などに当てはめられる。選手個人レベルでも新たな技術習得はホテル事業に言い換えると新規客を呼ぶことといえる。具体的な目標を定めることがレベルアップに欠かせないというわけだ。

前夜は矢野監督らと会食し、チーム方針を共有しあった。挑戦をテーマに秋季キャンプに取り組んでいる矢野監督も「オーナーはターゲットという話をされていた。目指すところは明確にしていこうというところで同じ。(選手も)そこ(目標)を思い描けたとき、自分はどうするのかというのが見えてくる」と同じ思いだ。目指すのは15年ぶりのリーグ優勝。さらに85年以来遠ざかっている日本一。この日、早出練習の時間からサブグラウンドで選手らを出迎え、球場を離れる昼すぎまで視線を送り続けた虎の総帥。強烈な言葉をチームにしっかりと刻み込んだ。【松井周治】

◆ザ・リッツ・カールトン 世界を代表するホテルチェーン。本社は米アトランタ。ライオンと王冠を組み合わせた格調高いロゴマークで知られる。スイス人のホテル王、セザール・リッツが、1905年に米国で「ザ・リッツ・カールトン・マネジメント・カンパニー」を設立。全室に浴室を設置、公共スペースでは花をふんだんに置くなど、当時では画期的なサービスで超高級ホテルとしての地位を不動のものにした。全世界に展開し、日本では東京、京都、大阪、沖縄にある。