広島大瀬良大地投手(28)が12日、今季後半戦から米大リーグ・エンゼルス大谷翔平投手(25)のフォークを取り入れていたことを明かした。これまで投じていた握りの浅いフォークが思い通りに投げられず、「大谷フォーク」の研究に着手。自らの投球の幅を広げる1つの選択肢として取り入れ、3年連続2桁勝利につなげた。

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コイのエース右腕が世界の「OHTANI」の右手を探究した。「いろんな投手の映像見た中で、大谷くんのフォークの握りが僕よりもちょっと深めだった。そっちの感覚をまねさせてもらったらいい感じになった。後半はその握りでやりました」。動画や記事を参考に、握りやリリース時の手首の角度などを研究。二刀流右腕の技術を自分の中に落とし込んだ。

今季前半戦は苦戦を強いられた。6、7月にかけて自身4連敗を喫するなど、月間防御率は5点台にまで悪化。「2月の春季キャンプまではしっかり縦に落ちていたんですけど…」。浅い握りで落ちていたフォークが、シーズンに入ると、思い通りにいかなかった。「少し指を広げて、引っかけるよりもちょっと抜くイメージに変えた。十分勝負球として使っていけるようになっていくと思う」。

「大谷フォーク」に加え、今季はシュートを新たな武器として取り入れた。15勝を挙げ、最多勝&最高勝率のタイトルを獲得した18年に比べ、今季は納得のいく直球を投げられなかったという。「まだそこまで自分の真っすぐに信頼を置いていない。年々進化していくためには1つの方向性として僕の頭にはある。シュートはいずれは必要になってくるボールですね」。

まだ28歳。しかし大瀬良は「年齢的にもいろんなことを考えないといけない」と危機感を持つ。下半身への負担軽減のため、秋季練習から2段モーションを封印した。「スムーズな流れの中で、上体が突っ込まないように左手でうまくバランスを取ろうということをキャッチボールから意識しています。思っていたよりも感覚はすごくいい」。王座奪還へ、広島のエースが貪欲に成長を求め、進化を続けていく。【古財稜明】