もっと速くなりたい! 広島からドラフト4位指名された花咲徳栄(埼玉)・韮沢雄也内野手(18)が18日、埼玉・加須市のサトエ記念21世紀美術館で仮契約を結んだ。契約金4000万円、年俸500万円で背番号は未定。

U18ワールドカップ(W杯)の高校日本代表でも高評価だった打撃、安定した守備が売りの韮沢は、課題の走力アップで近未来のショートストップを夢見る。(金額は推定)

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紅葉の門をくぐると、池の鯉に出迎えられた。鯉のぼりの町・加須の美術館。気品あふれる部屋で、仮契約を結んだ。若鯉の一員になる韮沢はカープ帽をかぶり「プロ野球選手になれる実感が湧いてきました」と喜びでほおを赤らめた。

巧みな打撃技術に、打球反応に優れる遊撃守備。5年連続でプロ野球選手を送り出す花咲徳栄・岩井隆監督(49)は「韮沢が一番いいのはプレーのきれいさ。見ていて美しいよね」と褒める。広島もそこを高く評価した。課題もある。韮沢本人も自覚している。「走ることなんです」。

昨年のドラフト1位小園は、報徳学園時代に50メートル5秒6をマークした。韮沢は6秒台前半がなかなか出ない。出身は新潟・魚沼。幼少期、積雪2メートル級の特定豪雪地帯では、好き放題に走り回れる季節は少なかった。「それでも高校3年間でかなり速くなったんです」と弱点克服に励んできた。

海がない埼玉県の花咲徳栄。岩井監督の発案で外野フェンス沿いを全て砂浜仕様に変えた。通称“徳栄ビーチ”で韮沢は昨冬、徹底的に走り込み「今も毎日のように走っています」。さらには現在、同校陸上部の練習にも参加。若鯉たちの秋季キャンプに負けないよう、走りまくっている。

数年後の目標を「ショートで、1番や3番を打てる選手に」と設定する。ドラフトから1カ月。広島の歴史も学んだ。「昔の赤ヘル世代のこととか。ショートだと高橋慶彦さん。偉大な先輩がたくさんいらっしゃいます」。その系譜に名を連ねるには、やはり足の大事さは身に染みる。

好きな言葉は「練習はうそをつかない」。広島の猛練習にも「野球が思う存分できるのは楽しみです」と目を輝かせる。3年後か、4年後か。美しさに鋭さが足されるころ、魚沼育ちの一級品が広島ファンを満足させる。【金子真仁】

◆韮沢雄也(にらさわ・ゆうや)2001年(平13)5月20日生まれ、新潟・魚沼市出身。小1から新潟南リトルで野球を始めて以来、遊撃手一筋。新潟シニアでは中2で日本選手権、中3でジャイアンツ杯に出場。花咲徳栄では1年春からベンチ入り。高3でU18日本代表に選出され、「3番・一塁手」で全試合出場。趣味はスキー。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。