井上よ、虎のイッパツマンに育て。阪神は19日、来季のコーチ陣容を発表。新任の北川博敏打撃コーチが2軍担当に就く。「ドラフトで高校生がいっぱい入るのでしっかり育てたい」と所信表明。ドラフト2位の履正社・井上広大外野手(18)ら阪神悲願の生え抜きスラッガー育成へ、期待がかかる。

新任の井上打撃コーチの1軍担当は決定していたが、秋季練習からキャンプまで、北川、新井両コーチは1、2軍の区別をつけずに指導していた。この日で役割分担が明確になった。矢野監督は配置の狙いを説明した。「高校生も入ってくるし、ペイ(愛称)はいろんな球団を経験している。いろんなアイデアを出してやってくれている。2軍でやってくれる方が全体のためになるのかなと」。

01年に近鉄の優勝を決める代打逆転サヨナラ満塁弾を放った北川コーチ。アニメ「逆転イッパツマン」のテーマが流れると球場は期待感に沸いた。オリックス、ヤクルトで2軍コーチを務め、プライベートの相談に乗ったりと面倒見のいい兄貴分だった。今キャンプでもさっそく、自慢の笑顔と大声で盛り上げた。室内練習場に懐メロを流すなどムード作りに一役買う一方、居残り練習では何時間も打撃投手として若手に付き添った。

新入団の高校生野手は井上ら3人。井上は今夏の甲子園決勝でヤクルト1位の奥川(星稜)から逆転3ランを放って優勝した。「いいところを見つけて、伸ばす」がモットーの北川コーチ。イッパツマン井上の長打力を余すことなく伸ばすには、打ってつけ。もちろん、殻を破り切れない選手たちへの好影響も見込める。打撃担当の肩書がついた日高コーチとともに2軍に新たな刺激が加わる。

1軍担当は2軍から新井コーチが昇格。新入団の井上一樹コーチとタッグを組む。「(新井)良太も選手に寄り添ってくれる。そういうのをやり切ってくれる」と矢野監督は期待している。【柏原誠】