矢野監督を男にする! 阪神藤川球児投手(39)が10日、兵庫・西宮市の球団事務所で契約交渉に臨み、6000万円増の年俸2億円でサインした。

来季の守護神も内定するなか、自らの進退にも言及。「年々、成績が向上していくのが条件」と単年契約で勝負する。残り7セーブに迫る名球会、盟友の西武松坂との日本シリーズ…。40歳シーズンにかける思いを激白し、05年以来の頂点を目指す。(金額は推定)

   ◇   ◇   ◇

節目の不惑イヤーへ、日米22年目を迎える藤川が燃える思いを激白した。大幅アップで契約を更改すると、40歳シーズンに思いをはせた。

「自分としては、長く現役を続ける考えがあまりなかった。来季どうしていくか、もう1年やろうかと。さらに来年勝つために、矢野監督をどうしても、ものすごくいい空気で野球をさせていただけるので、現役も一緒にやったし、男にしたい気持ちがありました」

かつてバッテリーを組み、05年には優勝をつかんだ間柄だ。開幕前からストッパーの大役を熱望。春先に不振で2軍調整したあと、4月下旬に再昇格した後は大車輪の働きだった。特に7月下旬、クローザーに配置転換されると全盛期をほうふつとさせる投球を見せた。56試合に登板して4勝1敗16セーブ、防御率1・77。守護神定着後、セーブ機会で1度も失敗しなかった。

「自分の中でもリリーフの成功率がキャリアで一番、良かった。1つの新しい野球選手の道をいま歩んでいるけど、そこに関しては自分との戦いには1つ勝てた気がします」

来年は東京五輪のため、今季よりも9日早く開幕する。矢野監督から早くも来季の守護神に指名されており、藤川もすでに鳴尾浜でキャッチボールを始めている。「もう終わった話。来年に向けて、気持ちはそっちに向いている」。日米通算243セーブで、あと7個で名球会入りが決まる。

「自分にとっては通り過ぎていかなきゃいけない。(野球人生で)携わってくれた方、自分の球を見て野球を始めてくれた子たちに対して、その応援のおかげで今があるという、恩返しの日になればいい。達成しなければいけない」

来季への発奮材料はまだある。西武に復帰した松坂との対戦も心待ちする。「彼のプロアスリートとしての根性というかね。同級生から見ても、ずばぬけている。できれば日本シリーズで会いたい」。7月に40歳を迎え、腹をくくる。「現状維持は衰退。現状維持の状態ならば、もちろん、後進に道を譲るべき。年々、成績が向上していくのが条件ですよね、自分の」。15年ぶりのリーグ制覇へ不退転の決意をもつ。不世出のリリーフエースが強烈な自負心をにじませた。【酒井俊作】

▽阪神谷本球団副社長兼本部長(藤川について)「(4月に)ファームに自らおりたんですけれど、有言実行でやってくれた。『ベストパフォーマンス出せるようにして戻ってきます』と言って、その通りやってくれた。的確に評価させてもらった。彼もあとは優勝したい、と。05年以来の。そこはがっちりと握手しました」