東都大学連盟の立正大野球部は14日、埼玉・熊谷キャンパスの陸上競技場で年内最後の練習を終えた。午前11時過ぎに、今年最後の練習メニューがスタート。坂田精二郎監督の発案で実現した“本気”の障害物競走となった。

チーム分けした選手たちは、まず台の上にこんもりと盛られた小麦粉の山に顔から突っ込む。小麦粉の中にはあめが交じっている。それを鼻先の感触で探り出し、口で捕獲。ゴホゴホとせき込みながらあめを探りまくる。

小麦粉で呼吸器系が粉まみれとなり、水分が持っていかれた直後に、なぜかバランスボールとサッカーボールをハンドボールのゴールに蹴りこむ。心肺機能への負荷がかなり上がったところで次は、地面に垂直に立てたバットのグリップに額を当てて10回転。よくある罰ゲーム形式の平衡感覚を破壊するグルグルバットで、選手はフラッフラ。ここで、足がもつれた選手同士がぶつかるシーンが続出。息苦しさに加え、目が回った選手は千鳥足で、最後の種目に突進する。

ラストは風船を一気に膨らませ、吹きこみ口を縛って台に置いて自分の尻で割る。割れた選手がゴールに走り込んでようやくフィニッシュとなる。

今年最後の練習を見つめる坂田監督は楽しそうだ。「これまでは駅伝とか、マラソンとかやってきましたけど、やっぱり長距離走は得意、不得意が出ますからね。最後の練習くらい、そういう得手不得手が関係ない、みんなが楽しみながらやれるものがいいかなと。これなら、声をかけあってコミュニケーションも図れますよね」。

理由はいくらでも考えつくだろうが、手を抜きたくなるメニューをいかに全力でやれるか、それも集団競技では重要だ。何の迷いもなく小麦粉に頭から突っ込む立正大野球部の潔さはなかなかの見ものだ。障害物競走の前には、選手宣誓が行われ、代表者が「本気でバカになってレースに臨むことを誓います」と、大声で叫んでいた。その宣誓通り、顔面真っ白になりながら全力疾走して2019年を締めくくった。

新主将の高橋翔大外野手(3年=高崎健康福祉大高崎)は「今年もそうでしたが、来年もチームの結束力が大事になると思います。障害物競走は楽しみながらも、みんな真剣にやったと思います。こういうところから、どんな時でもチームがまとまれるように、そんなチームになっていけたらいいと思います」と言った。

昨年は秋季リーグを制し、明治神宮大会では9年ぶり2度目の優勝を果たしている。今季は春、秋ともに優勝争いに加わることができずに下位に甘んじた。20年シーズンへ向けた熱意は強い。新年は1月6日から個人練習がスタート。同11日から全体練習が始まる。