来年はリーグ優勝と日本一を手にして地元に凱旋(がいせん)する。日本ハム大田泰示外野手(29)が14日、故郷の広島・福山市で行われた「第4回大田泰示杯 福山市中学生軟式野球大会」を観戦。

今季5位だった悔しさを振り払うように、来季“頂上奪取”を約束した。

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グラウンドを駆ける後輩たちの姿を見ていると、大田はあらためて、ふつふつと気持ちがたぎった。「子どもたちに夢を見せられるようにというのが、プロ野球選手の仕事の1つでもある。来年はもっと良い選手になってここに帰ってきたい」。目標とされる選手、あこがれの対象となる選手…、まだまだ大きくなりたいと思った。

表彰式後のトークショーでは、普段あまり口にしない広島弁で出場選手らに大切なことを伝えた。「ほんまに今、頑張れ。プロ野球選手になれるよ」。自身は中学卒業後に地元を離れ、神奈川の強豪、東海大相模の門を開いた。高校通算65本塁打のスラッガーに成長し、巨人ドラフト1位指名で幼い頃からの夢だったプロ入りを果たした。「小学生だろうが、中学生だろうが、夢があるから活力になる。夢があるからきついことにも耐えられるし、そういう人になって欲しい」と言った。

巨人からのトレード移籍が決まった直後の3年前、第1回大会開催時に「レギュラーを取って、億を稼いで」と公言した約束を、この第4回大会までに、きっちり果たした。プロ11年目の今季は打率、本塁打、打点の3部門でキャリアハイを更新したが、自身の夢はまだ続きがある。「チームが日本一になるために僕がいい働きをして優勝したい。4番を打ちたいとか、3割を打ちたいとか、それも夢の1つ。俺らは結果を出して恩返しするしかないから」。来年も、ひたすら突っ走る。【山崎純一】

◆大田泰示杯 故郷の野球振興のために16年12月に第1回大会を開催。今年で4回目になる。開催される福山市民球場は、大田が中学2年だった04年の野球教室で巨人原監督に学んだ思い出の舞台。第1回大会では、広島弁で「プロに入って、なかなかうまくいかんけど、俺には夢がある。レギュラー取って、億稼いでという夢があるから頑張れる。野球は、いいスポーツじゃけぇ」と選手に語りかけた。

◆大田泰示(おおた・たいし) 1990年(平2)6月9日、広島・福山市生まれ。小5まではソフトボールで遊撃と投手を務めた。野球は小6からで、城南中時代は軟式の松永ヤンキースで三塁も経験。東海大相模では甲子園出場なし。08年ドラフト1位で巨人に入団、16年オフ日本ハムにトレード移籍。188センチ、94キロ。右投げ右打ち