未来を嘱望されながら、ロッテ安田尚憲内野手(20)には危機感がある。「いつまでも子どもではいられない。気持ちを正して、1年を戦いたい」。プロ3年目を迎えた5日、母校の大阪・履正社での自主トレで背筋を伸ばした。

「己に克(か)つ」と誓った。首脳陣の育成方針で昨季は1軍出場ゼロ。2軍で19本塁打、82打点と打ちまくったが、反省もある。「ミスをすると、試合中に考えてしまうんです」。切り替えの遅さを今岡2軍監督からも指摘されていた。「精神的な部分で突き抜けていかないと」と、チームスローガン「突ッパ!」を己の課題と重ねる。

三塁手用グラブで始動した。「サードで勝負したい気持ちはあります」。鈴木大地内野手(30)が楽天にFA移籍した一方で、ロッテ2年目のレアードが君臨する。「簡単な壁ではない。意識しすぎるより、自分に向き合って」。履正社の恩師・岡田龍生監督(58)からの「この1年で野球人生が変わってくる」というメッセージも肝に銘じ、心身充実に励む。

人生で初めておみくじを引かなかったという変革の1年。「まずは開幕スタメンを」と狙いを定め、さらには「本塁打30発」「新人王」と重ねた。3つとも全て、同世代のヤクルト村上が昨季クリアしている。

「純粋にすごい。でも、自分のやることをしっかりと。まずは、己に克つ。空回りせずに」。ティー打撃の衝撃音に恐怖さえ感じさせる20歳のスラッガーは、勝負の1年に備え、黙々と振っている。【金子真仁】