昨年のドラフト会議で指名漏れを経験した仙台大(宮城・仙台6大学)の投手コンビ、右腕・稲毛田渉(4年=帝京)と左腕・小林快(4年=佐野日大)が社会人チームに内定したことがわかった。

ともに切磋琢磨(せっさたくま)してきたチームメートの大関友久投手(4年=土浦湖北)が育成2位でソフトバンク入り。先にプロの道を歩む同僚に負けず、社会人の大舞台で実力を高め、プロ入りに再挑戦する。

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稲毛田は最速153キロを誇る本格派右腕。即戦力として1年時から登板を重ね、4年時はエースナンバー「18」を背負った。昨春は24回1/3を投げ、防御率1・48の好成績。リーグ戦中から複数の社会人から誘いを受けたが、プロへの思いが強く、全て断って最後のリーグ戦に臨んだ。だが昨秋は「大事な場面で投げられなかったり、東北福祉大戦で投げさせてもらったのにもかかわらず、ふがいない投球をしてしまった」と4季ぶりの優勝を逃し、自身も満足できる結果を残せなかった。

最速149キロの直球が持ち味の小林は、3年秋に5試合で37奪三振の快投を見せたが、4年春は2戦で計1回2/3しか投げられず、「これが最後のアピールする場」と強い覚悟を持って秋に挑んだ。3試合で17奪三振と奪三振率こそ高かったが、課題の制球力を改善できずアピールに欠け、稲毛田とともに指名漏れの悔しさを味わった。

一方、練習メニューや苦楽をともにしてきた大関がソフトバンクの育成2位指名を受けた。稲毛田は「プロの世界を目指して頑張っていたところを見ていたので、うれしかった。悔しさはなかった」。小林は「うれしい反面、悔しかった。すぐに神宮大会に向けて、切り替えはできなかった」と当時を振り返った。

社会人での目標に「勝てる投手へ」を掲げる稲毛田は「140キロ後半を常時投げられるだけでなく、変化球の質、コントロール全てにおいて成長して、勝利に貢献したい」。小林は「信頼される投手へ」と掲げ、「信頼されていないと大舞台でも投げられない。練習に精を出して、結果にこだわりたい。球速とともに制球面も高みを目指したい」と意気込んだ。悲願のプロ入りへ-。新天地でアピールを重ねていく。

◆稲毛田渉(いなげた・わたる)1997年(平9)7月11日生まれ、東京・目黒区出身。碑小2年時に目黒イーストで野球を始め、3年時から世田谷タイガースに所属。目黒七中では東京青山リトルシニアでプレー。帝京では2年夏に東東京大会準優勝、3年夏は同大会4強。仙台大では1年春からベンチ入り。1年秋に優秀新人賞、4年秋にベストナインを獲得。家族は両親、弟、祖母。右投げ右打ち。182センチ、85キロ。目標の選手はダルビッシュ(カブス)。

◆小林快(こばやし・かい)1997年(平9)9月12日生まれ、栃木・真岡市出身。久下田小3年時に久下田ロイヤルズで野球を始め、久下田中では真岡ボーイズでプレー。佐野日大(栃木)では2年秋に県準優勝。仙台大では2年秋にリーグ戦デビュー。左投げ左打ち。家族は両親と姉。181センチ、76キロ。目標の選手は阪神能見。