阪神糸井嘉男外野手(38)が9日、沖縄・浦添でオリックス吉田正や日本ハム西川らとの合同自主トレを公開した。マシン相手に3連発を含む7本の柵越えを放ち、うち1本は右翼ネットを軽々と越える推定130メートル弾。左足首を痛めて昨年8月に離脱し、10月に手術したが、超人的回復で“もう全開”をアピールだ。阪神移籍後初の2月キャンプ中の初実戦も視野に入れ、2年目矢野阪神の攻撃陣を引っ張る意気込みだ。

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糸井が力強いスイングで次々と快打を飛ばした。マシン相手に62スイング。沖縄の空に3連発を含む7本の放物線を描き、うち1本は右翼ネットを軽々と越える推定130メートル弾となった。「(患部は)順調にきています。状態はいいです」。昨オフ手術した左足首の不安を感じさせない完全復活。すでに全開モードだ。

昨季は打線の中心を担い、リーグ3位の打率3割1分4厘をマークしたが、8月上旬に左足首を負傷して離脱。患部付近の腱(けん)に損傷も見つかり、10月にメスを入れた。当初は毎年恒例の沖縄自主トレも行わない方向だったが、患部の回復には暖かい気候がベストと判断。入念にケアしながら、日々ハードなトレーニングをこなしている。

この日は外野のポール間走や80メートルダッシュ、サイドステップや両足跳びを組み込んだサーキットトレーニングなどで、下半身を鍛えた。「プレーに近いパフォーマンスが出せるんじゃないかなと」。ジャンプ系のメニューを多く取り入れ、実戦でより有効活用できるボディーに仕上げている。

順調な調整は糸井節にも表れた。合同自主トレにはオリックス吉田正ら例年のメンバーに加え、今回から日本ハム西川らも参加。「学ぶことしかない。プロ中のプロの技術を持っている部分もある」と刺激をもらっている。「(今年は)『吉田プラス西川割る0』でいきます!」と独特の表現で糸井ワールド全開。「高いレベルを目指していかないと、成績も出ないと思う」。吉田正のパワープラス、西川の走力や守備力。後輩から惜しみなく取り込み、ハイブリッドな選手を目指す。

東京五輪の関係で早まる開幕に伴い、移籍後初のキャンプ中の実戦出場も視野に入れる。「いつもより早くしようかなと思います」。39歳のプロ17年目は、4年契約最終年で勝負の年。「フルで活躍できるように。そして、日本一になります」。外野争いは新外国人ジェリー・サンズ外野手(32)の加入で激しくなりそうだが、超人復活なら打線が厚みを増す。15年ぶりリーグVをグイグイ引っ張る意気込みだ。【奥田隼人】

〈昨季の糸井の歩み〉

◆前半快調 3月29日の開幕戦ヤクルト戦に「3番右翼」で出場するなど打線をけん引。6月は打率3割5分4厘の絶好調で7年ぶり月間MVPも獲得した。

◆盗塁で負傷 8月9日の広島戦で二盗を試みてスライディングした際、左足を痛めて途中交代。試合中に大阪市内の病院で検査を受け、左足首の関節炎と診断された。

◆シーズン絶望 最短10日間での再昇格も検討されたが、9月1日に今季中の復帰が絶望と判明。左足首付近の腱(けん)の損傷が発覚したと自ら明かした。

◆手術 10月上旬、都内の病院で「左足首の関節鏡視下クリーニング術及び靱帯(じんたい)補強術」を行い、同9日に退院した。

◆故郷で健在アピール 11月10日、京都・宮津市内で野球教室に参加。負傷後初めて公の場でジョギングし、ロングティー打撃の実演指導も見せた。

◆ジャッカルしたい 12月11日、現状維持の推定年俸4億円プラス出来高で更改。20年に向け「うっぷんを晴らしたい。いろんなモノを…ジャッカルしたいっす!」と発言。ラグビーW杯で日本代表FW姫野和樹が得意としたプレーになぞらえた。