ともに令和の野球界を盛り上げる! ロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手(18=大船渡)が10日、都内で行われた日本野球機構(NPB)による新人研修会に出席。ヤクルト1位の奥川恭伸投手(18=星稜)とも昨秋の韓国でのU18ワールドカップ(W杯)以来、122日ぶりに再会した。

高校日本代表として絆を深めてきた2人。プロ野球選手となった「ロウキ」と「ノブ」には、互いに認め合うからこそのストーリーがあった。

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研修中の休憩時間、座っている奥川のもとへ、佐々木朗がニヤニヤしながら近寄った。何やら話しかけ、商売道具とは逆の左手を振りかぶる。「パンッ!」。なかなか強めに学ランの背中をたたき、その後は右肩をさすった。

たわいもない話だったという。「髪が伸びたな」「新人合同自主トレってどんな感じなの?」。互いにそう口数が多くはない。でも同じ投手、友人だから分かり合える。居心地の良さを、周囲に振りまいていた。

2人の出会いは昨年4月。先に動いたのは奥川だった。高校日本代表候補合宿の夜。「何て呼べばいい?」と尋ねると「ろうたん」と返ってきたという。2日後の会見で、その経緯をいたずらっぽく暴露した。

真っ赤な顔で否定する“ろうたん”を遠目に、奥川は「本当ですよ。初日の夜に、そう聞いたんです」とニヤリ。悪意は一切感じなかった。もの静かな佐々木朗を周囲に溶け込ませるための“あえて”の暴露だったと皆、知っていた。

突き抜けた才能を持つからこそ、互いが大切な存在だ。9月のW杯韓国戦。先発の佐々木朗が血マメをつぶし、1回で降板した。失意のベンチで、奥川がスッと横へ。目は合わせず、試合を見ながら話し続けた。試合後、横に立った理由を奥川に尋ねた。

「覚えてないですね」

答えは、そのひと言だけ。2人が共有したであろう悔しさ。“あえて”わけを明かす必要はなかった。

「ロウキ」「ノブ」と呼び合う。強い絆の2人がセとパに分かれ、腕を磨いていく。この日の研修会では、野球人口の減少も話題に出た。子どもたちへの、自分たちの影響力も自覚する。佐々木朗は「まずは1軍で活躍することが第一だと思うので、そこを目標に。そこから、できることをどんどん探していきたいなと思います」。大船渡からロッテへ、星稜からヤクルトへ。2001年。21世紀最初の年に生まれた世代が、新時代を築いていく。【金子真仁】

○…ロッテ佐々木朗がWBCの優勝トロフィーに感銘を受けた。講義研修の前に野球殿堂博物館を見学。「いつかその一員として世界で戦いたいなと思いました」と目を輝かせた。別当薫氏ら球団OBの展示見学でも、うなずきながら説明を受けていた。館内で開かれる野球報道写真展では、昨年7月の高校野球岩手大会での自身の写真パネルに、金色ペンで直筆サイン。「ふさわしくないと思います」と笑いながら「偉大な記録を作れるよう、頑張っていきたいです」と今後への励みにしていた。