阪神矢野燿大監督(51)が11日、復活を期す藤浪晋太郎投手(25)の2月春季キャンプ1軍(沖縄・宜野座)スタートを明言した。最終決定は後日だが、今年初めて兵庫・西宮市内の鳴尾浜球場で練習した藤浪について「1軍にいるべき」と断言。激しい先発枠争いが繰り広げられる宜野座で、背番号19の逆襲が始まる。

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矢野監督の言葉には、厳しい競争を勝ち抜いてこい、とのメッセージが込められているようだった。午後に大阪市内でファンミーティングに登場し、藤浪の春季キャンプについて「そら、1軍にいるべきじゃないの」と言い切った。今月下旬のコーチ会議での決定を前に沖縄・宜野座での発進が明確となった。

午前には藤浪が今年初めて鳴尾浜でブルペン投球を行っていた。直球だけでなく、フォークボール、スライダー、カットボールの変化球を交えて37球。本人が「例年通りです。いい感じでやれてます」と言えば、受けた小宮山ブルペン捕手は「見たら分かるでしょ。エグかったでしょ」と証言した。

藤浪は昨季プロ初の1軍未勝利に終わった。昨年12月に沖縄で米国のトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」の練習を体験。この日もキャッチボール前に重さや大きさの違う球を投げる、同施設のメニューをこなした。「しっかり指にかかるとか、いいものがある。コントロールが安定してきている感じがあります」という。

1軍キャンプとなれば開幕ローテーション入りをかけた争いが待つ。矢野監督は言った。「もう(争う前に先発の座を)与えるような立場じゃない。自分で奪い取っていかないといけない位置にいる。俺は特別扱いするつもりは何もない。あいつ自身の力を出して競争で勝ってきてくれる、それを楽しみにしています」。4年連続で2ケタ勝利から遠ざかる右腕は、制球難の克服も実戦で示さなければいけない。指揮官は「実戦で慣れていかないと。いくらブルペンでいい球を投げていても、試合で投げてみないと分からないことも多い」とも言い加えた。

藤浪にとっては8年連続の1軍キャンプスタートとなる。完全復活を誓う男は「キャンプに合わせてしっかり仕上げていきます。初日から実戦に入れるようにしていく」。2月1日から、サバイバルの真っただ中に背番号19がいる。

◆13年

江夏以来46年ぶりの球団高卒新人2桁勝利となる10勝

◆14年

2年目ジンクス無縁。勝ち星増やしエースに近づく

◆15年

221奪三振で初のタイトル獲得。14勝はチーム最多

◆16年

後半戦失速し2桁勝利ならず。7月広島戦で161球

◆17年

WBC出場も制球難続く。5月故障以外では初の抹消

◆18年

制球不安定で1、2軍往復。9月DeNA戦で満塁弾

◆19年

1軍戦登板わずか1試合。プロ初0勝と正念場迎える

◆藤浪の19年オフ以降 10月末からの秋季安芸キャンプに参加した。山本昌臨時コーチの指導を受け、制球難改善に没頭。横振りを修正する必要性を伝えられ、腕が自然と縦振りになるチェンジアップ習得を勧められた。12月6日には契約更改。減額制限上限の25%ダウンにあたる、2100万円減の年俸6300万円(推定)でサインし、4年連続の減俸を受け入れた。同9日から5日間、沖縄で「ドライブライン・ベースボール」のセミナーに参加。米国から来日した専門家によって動作解析などに取り組んだ。その後の鳴尾浜での自主トレでは学んだ内容を実際に試すなど、復活へ精力的に突き進んでいる。