さあ球春の到来だ! ソフトバンクが31日、春季キャンプ地の宮崎に到着した。股関節の故障から復活を期すデニス・サファテ投手(38)も米国から来日し、宮崎入りした。キャンプ初日からの参加は6年ぶり。昨年1軍登板ゼロに終わった元守護神は「4回でも投げる。野球がしたい」とガムシャラに1軍マウンドを目指す。

   ◇   ◇   ◇

悲壮な決意を胸に、サファテがキャンプ地に降り立った。1月中に来日したことが、今季にかける熱い思いの表れだ。ソフトバンクでは入団初年度だった14年以来、6年ぶりにキャンプ初日から参加する。「2年間、何もできていない。2年間は野球選手じゃなかった。初日から来られる体の状態だったし、みんなと一緒に野球がしたい。練習がしたいという思いがありました」と心境を明かした。

18年4月に股関節の手術を受け、ここ2年は役割を果たせなかった。昨年6月からは米国に戻り、長いリハビリ生活。回復は順調で、すでにブルペン投球も5回行うなど術後では最も状態が上がっているという。「ウエートトレーニングもできるし、投げられるし、走れる。野球ができる状態。昨年とは比べものにならないくらい、体の感じがいい。日なたと日陰くらい違う。その違いをみなさんに見てもらいたい」と自信を見せた。

故障前は絶対的守護神の立場だった。そこが本来の帰るべき場所だが、今のサファテにその考えはない。「クローザーは彼(森)のポジション。何も言えることはない。4回に投げろと言われれば、そこで投げる。今はとにかく野球がしたい。思う存分、野球がしたいだけ」。プライドをかなぐり捨て、ガムシャラに1軍マウンドを目指す決意だ。

工藤監督も右腕の復活には大きな期待を寄せている。昨年末にはサプライズで米アリゾナにあるサファテのリハビリ拠点を訪れた。状態を確認するとともに激励した。ただ、ここ2年で森が抑えとして地位を高めたのは事実だ。指揮官は「てんびんにかけることはできない。一番は開幕までにどれだけ状態が上がってくるか。実績も当然、考えるけど、結果が大事になってくる」とポジションをかけた「競争」を望んだ。

悲願とするリーグ優勝を奪回しての完全日本一へ。「とにかく、何とかもう1度、グラウンドに立てるようにと思ってやってきた。新しいスタートだと思って、楽しみにしている」。2・1からユニホームに袖を通す剛腕の存在は、チームの大きな力になる。【山本大地】

◆サファテ苦闘メモ 

▼大活躍 17年にプロ野球新記録の54セーブを挙げ、日本一に貢献する大活躍。3年連続最多セーブも獲得し、名球会入りにも残り21セーブに迫った。

▼手術 18年は開幕前に19年からの3年契約を結んだことを発表。開幕から守護神を務めたものの、右股関節を痛め苦しんだ。4月末に帰国し手術を受け、この年はそのまま米国でのリハビリに費やし、復帰できなかった。

▼再び帰国 19年は宮崎キャンプに2月10日から合流。フリー打撃などに登板し、実戦にも投げた。ただ、速球が130キロ台と状態は上がらず、開幕1軍から外れ無期限で2軍調整。6月に主治医の経過観察などのため一時帰国。7月には、自身のインスタグラムで血小板を集めて患部に注入し自己治癒力を高める治療のPRP注射を受けたことを明かした。同年は1、2軍ともに登板なしに終わった。