<練習試合:阪神9-1楽天>◇20日◇沖縄・宜野座

初物尽くしの「ボーア劇場」や!! 阪神の新外国人ジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)が、楽天との練習試合で来日初安打&初打点&初美技を披露した。1回の一ゴロで初打点を挙げると、志願した5回の第3打席で真価を発揮した。冷静に外角への変化球を見極め、4球目を確実にとらえた。ライナーで中前へ。3度目の実戦。7打席目で待望の来日初安打をマークした。

「良かったよ。3打席目は走者を出したいところ。シングルヒットを打って僕は盗塁しようと思っていたんだ。二盗、三盗でホームにかえってくる予定だったのにね。代走が出たから」

上機嫌に話すのも、調整の順調ぶりを物語る。特筆すべきは打席での冷静な対応だ。快音を響かせた5回は直前の外角低めカーブにピタリとバットが止まる。変化球を大振りする姿はなく、矢野監督も「追い込まれて変化球で誘ってきたのを食らいつくというか、追いかけず、自分の形でしっかり見送るのは頼もしく見える」と評価。ボーアも「だってボールだろ」と平然と言う。選球眼の良さもプラスのポイントだろう。

堅守も披露した。5回2死走者なし。鈴木大の放った打球は一塁線を襲う。122キロの巨体はゴロめがけて飛ぶ。ダイブ好捕。初美技で、実戦初登板のエドワーズをもり立てた。「野球は打つだけじゃない。守備も意識してやるのが自分の仕事さ」。黒土にまみれたタテジマがハッスルの証しだ。

ボーアは言う。「1打席目はランナーをかえして打点を稼げたからね」。昨季は両リーグ最少の538得点。ポイントゲッターとして期待されるなか、点取り屋の役割を果たした。メジャー通算92本塁打のパンチ力こそ、まだベールに包まれるが、新助っ人の魅力が攻守に出た。【酒井俊作】