三条市出身の関桃子内野手(栃木・作新学院3年)が今春、女子プロ野球「愛知ディオーネ」に入団する。昨年8月、夏の全国大会で作新学院を初優勝に導き、11月の女子野球アジアカップでは、U-18女子日本代表として大会2連覇に大きく貢献した。今季から活躍の場を女子プロ野球に移し、3月28日から始まるリーグ戦で開幕スタメンを勝ち取り、チームの前期優勝を狙う。

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関がプロ生活をスタートさせる。「プロ入りがゴールじゃない。これからが勝負。走力と力強いバッティングをアピールし、開幕スタメンを勝ち取りたい」と新たな挑戦に今から心を躍らせている。

関は主に二塁手を務め、50メートル6秒台の俊足と長打が持ち味。チーム寮に入る3月7日までは作新学院で後輩らと練習を続ける。現在は打撃力向上のため、内転筋の筋力アップと柔軟性を養うことに重点を置いている。理想は、同じ二塁手で3割、30本塁打、30盗塁の“トリプルスリー”3回達成の右の強打者、ヤクルト・山田哲人(27)だ。「バッティングフォームを参考にしている。女子でも本塁打を年間10本以上打てる選手を目指す」と、気合十分だ。

昨年は、作新学院の夏の全国大会初優勝と、U-18日本女子代表のアジアカップ2連覇に大きく貢献した。この実績を見れば順調満帆に思えるが、作新学院では2年秋から3年春まで先発を外れる時期が続いた。「全て見直した」と、野球部の朝練が始まる1時間半前にグラウンドに入り、徹底した走り込みで下半身を強化。バッティングフォームの改善も行った。「あの悔しい経験があったからこそ、2つの優勝はとてもうれしかった」と当時を振り返った。

今春入団する愛知は、ジャパンカップ優勝4回、年間優勝3回を誇る名門。正二塁手を巡り、18年から2年連続ゴールデングラブ賞の浅野桜子内野手(22)とのポジション争いが予想されるが、「高いレベルを求めている。競争がなければ成長もない」と覚悟を決めている。

関が中学時代に所属した、県央BLジャイアンツ代表で父親の関和隆さん(56)は、「プロとして野球を続けるなら上を目指してほしい。ケガなく頑張り、誰からも愛される選手になってくれれば」と愛娘にエールを送った。

女子日本代表は08年から世界大会6連覇中と世界トップレベル。しかし、女子プロ野球の知名度は決して高くなく、選手を取り巻く環境は十分ではない。それでも関は前を向く。「活躍して女子野球を盛り上げたい。やるからには常に日本代表を目指す。まずは新人王を狙う!」と力強く宣言した。【小林忠】

◆関桃子(せき・ももこ)2001年(平成13)11月6日生まれ。小学4年でソフトボールを始め、一小スターズ(軟式)、県央BLジャイアンツ(軟式)を経て作新学院高校女子硬式野球部(栃木)へ進学。1年秋からベンチ入りし、2年からは二塁手として活躍。昨年出場したアジアカップは5試合に出場し、12打数10安打7打点を挙げた。右投げ、右打ち。162センチ。

◆日本女子プロ野球リーグ 健康サプリメントを扱うわかさ生活(京都市下京区)が09年に設立。毎年のチーム編成を経て、現在は京都フローラ、愛知ディオーネ、埼玉アストライア、レイア(育成チーム)の4球団が所属する。公式戦は前後期制。オールスター、女王決定戦、ジャパンカップを開催する。