新型コロナウイルス感染拡大の影響が野球界にも波及した。巨人は25日、29日と3月1日に東京ドームで開催するヤクルトとのオープン戦を無観客試合として行うと発表した。政府の感染症対策本部の専門家会議が今後1~2週間を感染拡大か収束かの「瀬戸際」と見解を示したことを重視。3月20日の開幕戦を通常通り開催するためにも、オープン戦期間は無観客試合とする取り組みを他球団にも呼び掛けていく方針を示した。また同12日に都内のホテルで開催予定だった激励会は中止とした。

26日の12球団代表者会議を前に、巨人が球団としての姿勢を明確にした。午後7時からのブリーフィングで「読売ジャイアンツにおけるオープン戦対応について」という書面を配布。24日に政府の専門家会議が「これから1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」と見解を示したことを重く受けとめ、感染拡大防止のための具体策を検討した。専門医とも相談し、球団独自の判断で同期間内の主催試合2試合を無観客で行うことを決めた。

東京ドームは屋内空間である一方、高い換気能力と広大な空間によって屋外と同様な環境が確保できるため、ドーム球場であることが無観客試合とする直接の理由ではない。2週間の期間内では、ヤクルト戦以降も札幌(日本ハム戦)、大阪(オリックス、阪神戦)と遠征が続く。星春海総務本部長は「主催の相手球団には当球団の判断をこれから丁寧に説明して、ご協力いただけないかお願いしていこうと思ってます」と、同じく無観客試合とすることを要望していく方針だ。

3月20日の開幕戦については、通常通りファンの前での開催を希望している。同本部長は「感染拡大の不安が世の中に広がるのは球団として本意ではありません」とした上で「多くのファンの方が心待ちにしている。その思いも非常に大切です。無観客でオープン戦をやろうと判断したのは、我々としては3月20日を予定通り迎えられるような環境を何とか整えていきたいから」と説明した。

26日の12球団代表者会議では、2週間経過以降も全球団にオープン戦期間の原則無観客を呼び掛けることも検討する。巨人主催のオープン戦で、無観客試合とするのは初。例年通りのシーズン開幕を迎えるためにも、感染拡大のリスク軽減へ最善策を探る。

<球界の新型コロナ対応>

▼2月7日 阪神がキャンプ中の、練習試合でのジェット風船による応援の自粛願いを公式サイトで発表。その後中日、DeNA、ヤクルトも同様に呼びかけ。

▼12日 西武が19、21日に、阪神が20日に予定していた台湾・統一との練習試合を中止すると発表。

▼15日 ロッテ、楽天はサインや握手などのファンサービスを当面自粛と発表。日本ハムも同様に、ファンサービスを自粛する旨の張り紙をキャンプ地に掲示した。巨人は16日以降の報道関係者へのマスク着用を要請。

▼21日 DeNAがチーム関係者や報道陣への検温を義務づけし、37度5分以上の発熱が確認された場合は来場を禁止すると発表。ロッテは3月10日の壮行会、同11日の出陣式を中止に。