新型コロナウイルスへの感染対策として、プロ野球とJリーグは従来の応援方法の変更を求められる可能性が出てきた。

日本野球機構(NPB)とJリーグは3日、都内で第1回の「新型コロナウイルス対策連絡会議」を行った。3人の専門家から開催時のファンの応援スタイルについてのリスクを指摘され、鳴り物での応援の自粛なども今後の選択肢に入りそうだ。9日には第2回の会議が予定され、12日以降に提出される専門家による意見書を受け、両組織が開催に向けての決断を、それぞれ下すことになる。

   ◇   ◇   ◇

日本トップのプロスポーツに観客が入れても、取り巻く環境は変わる流れになってきた。

専門家の賀来氏は春場所の無観客を決めた大相撲の理事会にも出席していた。体育館などを利用する大相撲の「閉鎖空間」と比べ、プロ野球、サッカーは屋外でのリスクも高くなく、ドームでも換気がいいと見解を示した。だがリスクは消えない。「肩を持ってみんなで『ワー!』と応援するリスクはある。多くの人が集まる、マスギャザリングという考えだとリスクはリスク」と通常開催時の問題点を指摘した。

プロ野球なら鳴り物主体に、サッカーでも応援歌を合唱する。専門家が懸念する「手の届く範囲」で飛沫(ひまつ)が飛び交う。少しでも軽減させる鳴り物自粛を問われ、賀来氏は「提言の中にも私たちがリスクと考えるものに関しては入れさせていただきたい」と含みを持たせた。スタンドを満員にせず、一定距離を保つのも方策の1つ。会議内では先日のチケット販売で直径2メートルの敷物で間隔を作ったプロ野球の広島の例も出された。

ファンの感染予防とともに、選手、スタッフとチーム内から罹患(りかん)者を出さないこともミッションになる。アスリート世界における濃厚接触の定義があいまいとの声が出席者からは続出。専門家からは選手にはロッカーの時間差での利用、食事時の1・5メートル以上の間隔確保などが提言された。地域ごとに各球団、クラブが助言を受けるためのアドバイザーを選任する方針も固まった。一方で感染者が出た場合は現段階でひとくくりで判断することが難しく、次回に持ち越された。舘田氏は「不幸にして起きてしまった時に混乱しないようなマニュアルを整備することが私たちの責任」と受け止めた。

Jリーグは18日のリーグ戦、プロ野球は20日の開幕まで残された時間は少ない。第2回会議は9日に行われ、開催に絡む提言を受ける。その後は12日以降に意見書がまとめられ、それを受けて各組織で開催の可否の決断を下す。三鴨氏は「我々は基本的に中止するという考えではなく、どちらかというと前向きな姿勢で、するのであればどうしたらいいかという姿勢でいろんなことを考えている」と話した。今後の感染の拡大状況次第で延期の選択肢もあるが、開催へ熟考を重ねる。【広重竜太郎】

○…対策連絡会議に出席した阪神の谷本球団本部長は、初回は専門家の知見を聞くことに専念したと説明した。「気にし出したらキリがないと感じました」と感染の封じ込めを念頭に置きつつも、完璧を求める難しさを痛感した様子。「いろんなデータをいただきました」とし、公式戦の開催を目指し、球団代表者間での議論が始まる見通しを示した。