<オープン戦:巨人3-3楽天>◇14日◇東京ドーム

楽天三木監督の色が、守りからリズムを生む野球のイメージが、9回裏に詰まっていた。同点の最終回、マウンドは高梨。巨人は俊足吉川大が出塁して犠打で1死二塁。ここで三木監督が大きな決断をする。中堅手の山崎幹を極端に前へ。どんどん前進して、すぐそこにセカンドベースが、というところまで動かす。セカンド、ショート、センターがほぼ正三角形に近い位置関係。異例の陣形に、原監督もベンチの中で驚きつつ、苦笑い。

結果は若林の投手への強烈な当たりを高梨が好捕。申告敬遠などで2死満塁となり、最後は石川の右翼への大飛球を、右翼手の辰己が、右へスライスする打球を判断よく好捕。引き分けに終わった試合は、三木シフトによってスリリングな結末となった。

試合後は、勝ったかのような爽やかさで言った。

三木監督 吉川は足が速い、それに山崎は外野の経験が浅い。吉川にかえられたらサヨナラ。それなら思い切って前進守備にしようと。私の判断です。これからも、いろいろ試したい。やって気づくこともあるでしょうから。

2打点の山下は「監督は守備からリズムを、といつも言っている。大事さを感じました」。戦略家と言われる新人監督が見せ場をつくった。【井上真】