広島会沢翼捕手(31)が29日、「プロ魂」で苦難を乗り越えることを誓った。

この日から広島・マツダスタジアムで3日間の「ミニキャンプ」がスタート。阪神で新型コロナウイルス感染者が出た影響もあり、「4・24」開幕にも暗雲がたちこめる中、チームの正捕手は強い覚悟で前を向いた。

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会沢が滴る汗を拭いながら、思いの丈を口にした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、本来の開幕予定日だった「3・20」に続き、最短の開幕目標日の「4・10」も先延ばしに。次の目標に設定された4月24日も延びる可能性も浮上してきた中、会沢は「初めての経験。正直なところ開幕できるのかなと、不安の方が大きい」と厳しい表情を浮かべた。

他競技の大会が続々と中止となり、東京オリンピック(五輪)も延期が決定。感染者が出た阪神など練習を中断する球団が続出する中、会沢は「自粛ムードがある中で、練習をやっていいのかなという葛藤もある」と複雑な心境を明かす一方で「暗くやっても仕方ない。明るくやっていけばいいと思う」と切り替えた。「プロである以上4月24日に合わせないといけない。それが仕事だと思う」と「プロ魂」で苦境を切り抜ける覚悟を示した。

まずは「4・24」の開幕に向け、全力で準備する。この日からチームはマツダスタジアムで3日間の「ミニキャンプ」をスタートさせた。投手は走り込み中心のメニューで汗を流し、野手は午前中に守備練習、午後は室内で打撃練習に取り組んだ。フリー打撃やティー打撃など4種類の練習をペアで9カ所に分かれて行い、12分間のローテーションで計2時間バットを振り込んだ。朝山打撃コーチは「シーズンが始まったらできないので『4・24』に合わせて今から貯金を作っておく」と説明。若手、ベテランを問わず、野手全員で1人約500スイングの猛練習に励んだ。

リーグ3連覇から一転、昨季は4位に沈んだ。昨秋から佐々岡監督の新体制となり、リーグV奪還、そして日本一を目標にスタートした今季。まさかのコロナ禍に見舞われたが、会沢は「みんな去年の悔しさは忘れてないと思う。やってやるんだという思いは強い。一丸になっていると思う」と強い結束力を強調。プロとして、今できることに全力を尽くす。【古財稜明】