阪神谷本修球団副社長(55)は6日、西宮市内の独身寮「虎風荘」に住む寮生に対し、ホテルまたは選手の実家に“疎開”する選択肢を提示したことを明かした。

寮生22人のうち、新型コロナウイルスの陽性判定を受けた長坂拳弥捕手(25)ら、濃厚接触者を除く選手と個別ヒアリングを実施。寮生の心理的な負担を考慮した措置で、早速生活拠点を移した選手も出始めた。

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寮に住む若虎たちの一部が「疎開」する。阪神の独身寮「虎風荘」には22人の寮生が生活しているが、球団は新型コロナウイルスの陽性判定を受けた長坂ら、濃厚接触者を除く選手を個別にヒアリング。希望者には兵庫県内のホテルや選手の実家に生活拠点を移すことを許可した。谷本球団副社長は「自宅待機、寮だけではなくいろんな選択肢を提供した」と説明した。

今も厳戒態勢が続いている。寮生である長坂が3月26日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けて入院。4月2日には同じく寮生の小幡が結果は陰性だったが、PCR検査を受ける事態に発展し、選手寮は複数回の消毒が施された。食事も食堂ではなく、各自の部屋で取る方式に変更。大浴場も時差をつけ、1人で入浴できるスタイルに変わった。

選手の不安要素を取り除く措置だ。谷本副社長は「時間帯をずらしているとはいえ、お風呂とかは共用なので。個室に温泉があるわけじゃないので」と寮生の心理的な負担を考慮したと説明。寮内は安全を確保された状態だが、地域アドバイザーとも話し合い、このタイミングで一時的な疎開を認めた。

すでに移動は始まっている。寮生に方針が伝えられたのは前日5日。濃厚接触者に指定された選手以外にも寮にとどまる選手もいるが、希望する選手はこの日から生活拠点を移した。現在、鳴尾浜の施設はトレーニングルームなど屋内施設の使用を禁止されている。練習も制限があり、ランニングなどの1人でできる運動に限られる。チームの再稼働は最短で9日以降だが、政府の緊急事態宣言も出てさらに不透明な状況に陥る。非常事態の中、最善の策を探る日々が続く。