プロ野球独立リーグ、BC新潟は12日、ハードオフ新潟で紅白戦を中心に練習した。在籍4年目の楠本歩内野手(26)は、ゲーム感覚を養いながら開幕を待っていた。黒ユニホームとオレンジユニホームに分かれて繰り広げた紅白戦は黒ユニホーム組の3番遊撃手としてプレー。無安打だったが、強烈な飛球を連発していた。

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楠本が放った打球は右中間に飛んでいった。ホーム開幕戦(滋賀戦)が開かれるはずだった12日に繰り広げた紅白戦。2-3で迎えた7回表の先頭打者として、バットを豪快に振り抜いた。飛球に追いついた中堅手がグラブに当てて落球する間、三塁まで走り込む。相手の失策となったが、豪快な一打。1-3で迎えた5回1死一、三塁の場面ではセンターへの犠飛も打った。安打は出なかったものの、5月中旬以降となった20年シーズン開幕へ、準備は完了していた。

3年目の昨季は58試合に出場し、221打数67安打の打率3割3厘。一昨年は3割2分8厘と、2年連続で打率3割超えの成績を残している。「直球への対応には自信を持っている。(3割を打った)2、3年目は相手投手が警戒した配球をしていた」と今季は相手バッテリーとの心理戦も制し、安打を量産するつもりだ。今季の具体的な目標数字も「100安打、70打点、30盗塁」と明確に目標を口にした。

J2新潟でプレーするDF早川史哉(26)は筑波大で1年先輩。「雪上実習」(スキー実習)という同じ授業を履修して以来の知り合いで、今でも一緒に食事をする仲だ。急性白血病を乗り越え、昨年10月に公式戦に戻ってきた偉大なアスリートの先輩。「お互いに刺激をもらいながら仲良くしている」と話した楠本は続けた。「同じアルビレックスを背負う同志」。野球のアルビレックスを、けん引する覚悟だった。

新型コロナウイルス感染の拡大で、リーグ開幕は延びた。日常生活も制限される状況だが、野球に対するモチベーションは落ちていない。「感染しない。感染させない」を心掛けて行動しているが、野球に関しては「自然体で臨むだけ」と言う。守備では内外野をこなし、打撃は主軸はもちろん小技もうまい。「勝負強いユーティリティープレーヤー」はNPB入りを目指して4年目のシーズンインを待つ。【涌井幹雄】

◆楠本歩(くすもと・あゆむ)1993年(平5)12月17日生まれ、岡山県倉敷市出身。岡山城東-筑波大。小学3年で安江ソフトボールクラブに入り、中学時代は軟式野球。硬式は高校から開始。ルーキーシーズンの17年は打率2割7分9厘。右投げ左打ち。174センチ、80キロ。血液型B。