日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。
◇ ◇ ◇
今年は、巨人で9年連続リーグ優勝、9年連続日本一を成し遂げた名監督、川上哲治(享年93)の生誕100年の年にあたる。出身地の熊本県人吉市では『生誕100年記念イベント』が開催されていたが、新型コロナウイルス感染拡大で中止・中断が相次いだ。
人吉クラフトパーク石野公園には、川上語録、表彰状、トロフィー、写真など約300点の記念品が展示。約3カ月で1万人を集客し、王貞治、末次利光らも訪れた。ここも休館になっているが、川上哲治記念事業実行委員会会長の岡本光雄は「時機をみながら土日から再開する計画をしています」という。
地元の老舗「宮山時計店」では、13日から限定100本の「記念オリジナル腕時計(写真)」を、インターネットで資金を調達し、リターンするクラウドファンディングで募集を開始。今回の感染拡大で縮小を余儀なくされたイベントを盛り立てる一環として企画した。
明治40年創業。大型量販店の進出で厳しい状況でも、113年にわたって伝統を受け継いできた。4代目の宮山直子は「川上さんは地元の偉人」と表した。長男渉、次男大も、小、中学生時代に川上杯の少年野球大会に参加。地元に活気を取り戻し、名将川上の偉業を伝承する。
「最近はソフトバンクのファンが多くて肩身が狭いのですが、うちは代々が巨人ファンです。ちょうどオリジナルの商品を考えていたところ、川上さんのイベントの話をうかがいましたので、地元の関係者や人吉しごとサポートセンター(ヒットビズ)にご相談させていただきました」
時計のデザインは人気漫画「巨人の星」の作画、熊本在住の川崎のぼるによるイラストを採用。時計の売り上げのリターンに、地元の商品をPRする仕組み。生前の川上は計211回の少年少女野球教室を開いて野球界に貢献。そこで時計の売り上げの一部を「川上杯」に参加する少年野球チームに寄付する。
人吉で生まれた川上は家庭の事情で、裕福から貧乏に転落する。その後「打撃の神様」「V9監督」の立身出世を果たし、死ぬまで郷土を気にしたという。この感染拡大がおさまってくれば、開幕と歩調を合わせるかのように、川上イヤーの功績をたたえる行事も再び幕を開ける。(敬称略)
【宮山時計店のクラウドファンディング】
◆期間 5月13日~6月29日
◆プロジェクトページ https://bit.ly/KAWAKAMITOKEI



