1年前の2019年5月28日、ヤクルトが12連敗を喫した。連敗脱出へベテランの青木宣親外野手が頭を丸めて試合に臨んだが1点差負けし連敗ストップならず。この連敗はセ・リーグワーストタイの16まで伸びた。

【復刻記事】

気迫の丸刈り! 連敗を脱出するべく、ヤクルト青木宣親外野手(37)が長さ2ミリのクリクリ頭で神宮球場に登場し、周囲の度肝を抜いた。強い思いを体現したチームリーダーに引っ張られ、打線が奮起。4回に山田哲の12号ソロ、村上の13号2ラン、青木自身の2点適時打で一挙5点を奪い、広島と壮絶な打撃戦を展開した。しかしあと1歩及ばず1点差負け。連敗は12まで伸びた。

神宮を覆う分厚い雨雲の隙間から、明るい空が見えた。9回、広島の守護神中崎から四死球3つで2死満塁。奥村は、空振り三振に倒れた。激闘の末の、あと1点。ベンチから祈るように見つめていた青木は「ここのところ、拮抗(きっこう)した試合が多くて、いい形にはなっている。もう一押しなんだけど」と吐露した。

気合がみなぎっていた。4-7で迎えた4回2死満塁、広島九里の外角低めフォークを拾ってしぶとく右前へ運び、2点を挙げた。前日27日のオフに、「小学生以来30年ぶりかも」という2ミリの丸刈り頭にチェンジ。「みんなと目が合わない。頭を見てるから、目線が上にいく」と苦笑いしながら、悪い流れを一新させたい思いがあった。ベテランの勝利への執念は、確実にチーム内へ波及した。

6点を追う4回は、先頭で山田哲が3試合連続の12号ソロ。さらに無死一塁、19歳村上が内角カットボールを捉え、チームトップの13号2ランを右翼席中段へ運んだ。18日DeNA戦(神宮)でバレンティンが放った2ラン以降の10発は、すべてソロ。8戦ぶりの2ランが、強力打線の復活を印象づけた。

8回には、四球を選んだ村上がベンチへ振り返ると「しゃあ!」と全身からほとばしる叫び声を上げた。呼応するように2死一、二塁で中村が左前打を放ち、1点差に迫った。

最大6点差から、追い上げての敗北。青木は、チームの状態について「上がってきているけど、勝たないといけない。とにかく今は、勝たないと。それだけ」。守備の際にも、ベンチは総立ち。身を乗り出して声を出し続けていた。近い未来の勝利を予感させる、惜敗だった。

◆ヤクルト小川監督(12連敗に)「いろいろあるが、明日勝てるように頑張るしかない。反省点を挙げればきりがない。打線は前の試合も今日も、点が取れている。シーズン中、こういう試合はある。(選手は)精神状態がいっぱいいっぱいの中でやっている。切り替えて、やるしかない」